人工知能(AI)で自殺を減らせるのか Facebookの新たな挑戦

    試験的な試みが3月1日、アメリカで始まった。

    Facebookは3月1日、人工知能(AI)技術を活用した自殺防止の取り組みを試験的に始めると発表した

    自殺や自傷行為をほのめかす投稿をAIが判別。Facebook内のコミュニティ・オペレーション・チームがレビューし、差し迫った危険があると判断すれば、本人に専門家への電話や友達と会話を勧める。

    Facebook上でAIは常に動いている。自傷行為をする可能性があるユーザーを見つけると、AIがその友達に知らせる仕組みだ。通知を受けた友人は、どう対処したらいいか専門家や他の友達と相談できる。

    機械の力だけでもなく、人の力だけでもなく、技術と人のつながりを組み合わせて、社会問題に取り組むFacebookの挑戦。まずはアメリカ国内で展開する。

    「人々からも自殺や自傷行為ではないかという通報を受けますが、実はAIの方がより正確です」「(AIが通報するような)投稿をした人たちに対して、支援の手が届く機会が広がります」

    Facebookのプロダクトマネジャー、バネッサ・カリソン=バーチョルド氏はBuzzFeed Newsに話す。同氏によると、AIからFacebookのチームに知らせが来るのは「非常に緊急性が高い」ときだけだという。

    相次ぐ自殺中継

    Facebookのライブ動画で自殺を中継する人たち後を絶たない

    これに対してFacebookは、配信を遮ろうとするよりは、友人や家族らが支援の手を差し伸べる機会を提供することを重視した。

    「ライブ動画はライフラインになります」とFacebookのリサーチャー、ジェニファー・グアダーニョ氏は指摘する。

    「(ライブ動画を)見ている人は、手を差し伸べ、助けとなれるチャンスがあります。ライブ動画をしている人は、見ているかもしれない家族や友人から助けてもらえるチャンスがあります」

    マーク・ザッカーバーグCEOも2月、BuzzFeed Newsの取材にこう答えている。

    「この会社を経営していて、誰も私たちに報告しないなら、じゃあ、何もしないではすまされないと思っています」

    「コミュニティにいる友人らが、手を差し伸べ、助けとなれるようにする技術を培いたい」

    専門家は評価

    AIを活用した自殺防止。新しい技術で可能性は未知だ。ただ、専門家はFacebookの取り組みに期待する。

    全米自殺防止ライフライン(National Suicide Prevention Lifeline)のジョン・ドレーパー博士は「自殺防止において、タイミングが全て、ということもあります」と話す。

    「自らを傷つける行為をする人がいるとき、いち早く連絡を取れるに越したことはありません」

    プライバシーと安全

    もちろんデジタル空間のプライバシーを守りながら、AI技術を活用していくのは容易な課題ではない。ただ、Facebookは挑戦を続ける。

    ザッカーバーグCEOは2月16日にこう書いた。

    「将来を見据えて、人工知能技術を培い、このコミュニティで起きていることを素早く正確に把握することは、人々の安全を守る大きなチャンスになるのです」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。

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