米テネシー州メンフィスで5月13日未明、Facebookライブをしながら男性が灯油をかぶり、炎に包まれたままバーに乱入する事件があった。地元メディアによると、男性は病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。
亡くなった男性は、ジャレッド・マクレモアさん(33歳)。メンフィス警察は自殺とみて、調べている。
ライブ動画はすでに閲覧できない状態になっている。Facebook広報は声明を発表した。
「ジャレッド・マクレモアさんの死を心から悲しく思います。Facebookで自傷行為や自殺を拡散することは許されません。Facebookをみなさんに安全に使っていただきたく、苦しむ人たちを支援する世界中の組織と協働しています」
懸命の消火活動
事件があったのはメンフィスの繁華街にある「マーフィーズ・バー」。
事件を目撃したジム・ダックワースさんは恋人のキム・コーラーさんと、ちょうど演奏を終えたところだった。BuzzFeed Newsの取材に「(マクレモアさんは)わめきながら、火が付いた状態で入ってきた」と話した。「最初は信じられなかった。映画で見るような出来事だった」
バーから逃げようとする人たち。コーラーさんは毛布をつかみ、マクレモアさんにかぶせて、火を消そうとした。「叫び、痛みにもだえていた。特に頭部など、火を消すのは難しかった」
警察によると、マクレモアさんからライターを蹴って奪おうとした男性1人も火傷を負い、病院に運ばれた。男性はポール・ガーナーさんで、Facebookで無事だと訴え、心配する人たちに感謝を伝えた。マーフィーズ・バーによると、店員らは無事だという。
元恋人を狙った?
ダックワースさんによると、マクレモアさんの元恋人アリッサ・ムーアさんが事件当日にバーで、サウンドエンジニアとして働いていた。
姉サラ・ムーアさんによると、亡くなったマクレモアさんは妹アリッサさんに近づかないよう禁止命令を受けていたという。
アリッサさんの回復のために募金を集めるページ「GoFundMe」によると、事件の1週間前、マクレモアさんはアリッサさんの家に押し入り、銃を突きつけて脅した。その数ヶ月前にも、アリッサさんを脅したという。
事件当日、アリッサさんは、道連れにされるのに必死に抵抗。さらに客たちが逃げるのを助けるため、バーのドアを懸命に操作したという。
支援に感謝
姉サラさんはBuzzFeed Newsに、本人は取材に答えたくはないが、心配して支援を申し出てくれた人たちに感謝していると話した。さらに声明を出した。
「アリッサは、現場で、または、Facebookライブを通じて、事件を目の当たりにした人たちのことを気に留めています。あの夜、音楽を楽しもうとマーフィーズにいた方々は、ジャレッド(・マクレモア)がアリッサを職場で付け狙い、脅すのを目撃されました。多くの人も巻き添えに脅したのです」
「事件によって、いろいろな理由で、多くの人たちが動揺されたことをアリッサは理解しています。心の準備ができたときには、多くの人からいただいた愛や支援をお返しできたらと思っています」
「ジャレッドの家族のこともアリッサは心に留めています。家庭内暴力、そこにつきまとうレッテル、心の病の非情な現実、これらが嵐のように押し寄せる中でこれは起きました」
愛に包まれて
募金を集めるページでは、目標6300ドル(約70万円)に対して、すでに3万7000ドル(約410万円)以上が集まっている。
予想を超える募金額。募金は、アリッサさん個人だけではなく、事件を目撃した人たちが立ち直るサービスを提供するためにも使うという。
アリッサさんはこんなメッセージを伝えている。
「どんなにこれが助けになることでしょう。お金だけじゃありません。この愛情です。悪夢から目が覚め、愛してくださる方たち、安全を気遣ってくださる方たちに囲まれていることを実感しています」
BuzzFeed NewsはFacebookライブを巡る事件について「『犯人を許します』と家族は涙 Facebookに殺人ビデオが流れる」や「15歳の少女 集団レイプされたか Facebookライブ動画で中継される」にまとめています。
この記事は英語から編集しました。