「犯人を許します」と家族は涙 Facebookに殺人ビデオが流れる

    閲覧注意:この記事は暴力的な画像を含みます。

    Facebookに4月16日、男性を殺害する様子を映した動画がアップロードされた。米オハイオ州クリーブランド警察は男性1人の死亡を確認した。

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    SNSで殺人の様子が流れたことに、全米が衝撃を受けている。

    「13人を殺した。こうやってしゃべりながら、14人目を殺ろうとしている」「車を運転しながら、クソ野郎を殺っている」。動画からは、こう話す男の声が聞こえる。過去に付き合っていた女性とのトラブルにも言及した。

    警察によると、男はスティーブ・ステファンズ容疑者(37歳)。

    殺害を撮影

    「殺す人間を見つけた。この男を今から殺す。この年寄りだ」。動画には、こう話し、車から降りる容疑者とみられる男の姿が映っていた。

    道端の男性に「ちょっとお願いがあるんですが」と話しかけ、ある女性の名前を言うように頼んだ。この男性は戸惑いながら、その名前を繰り返した。

    容疑者は「この女のせいだ。だから、お前がこうなるんだよ」と話し、銃を向けた。男性は地面に倒れた。

    乗用車で逃走

    UPDATE Homicide suspect Steve Stephens' actual vehicle has Ohio Temp tag E363630

    警察は、容疑者が白い乗用車で逃走したとみて、行方を追った。

    女性は無事

    17日午前の記者会見で、クリーブランド警察のカルビン・ウィリアムズ署長は、容疑者と携帯電話でコンタクトを取り、出頭を促したが、失敗に終わったと述べた。

    別の動画で容疑者は、付き合っていた女性の職場の外にいるとして、女性やその母親のせいで暴力に及んだと説明。「彼女が働いているから、ここで可能な限り多くの人間を殺す」と話していた。

    ウィリアムズ署長によると、この女性の無事は確認したという。

    女性はCBSの取材に対し、容疑者とかつて数年間付き合っていたことを明かし、コメントを寄せた。「(容疑者は)とてもいい人間でした...誰にも寛容でした。私にも、私の子どもたちにも親切で、愛情を注いでくれました。私も家族も非常に辛い思いをしています。どうか私たちのプライバシーに配慮してください」

    ケースマネジャー

    容疑者には犯歴がなく、突然の凶行に及んだことも社会に衝撃を与えた。

    容疑者は、子ども向け社会福祉施設「ビーチ・ブルック」で、ケースマネジャーを務めていた。広報のナンシー・コートマイアー氏は BuzzFeed Newsに「Facebookに流れていると聞いて、ショックでした。警察が早く容疑者を発見し、できるだけ平和に解決することを願っています」と話した。

    だが翌17日朝になっても、容疑者の行方はわからないまま。クリーブランド警察は、オハイオ州だけはなく、ペンシルベニア、ニューヨーク、インディアナ、ミシガンといった近隣州の住民にも警戒を呼びかけた。

    容疑者は死亡

    容疑者を発見したのは18日。ペンシルベニア州警察によると、午前11時ごろ、同州内で容疑者を見たという通報があった。州警察は捜索の結果、容疑者の車を発見。2マイル(3.2キロ)ほど追跡した後、被疑車両にぶつけて、強制的に止めようとした。被疑車両は制御を失ってスピン、容疑者は拳銃で頭を撃って、自殺したという。

    Facebookの対応は

    Facebook広報は16日、「恐ろしい犯罪で、こうしたコンテンツがFacebookに載るのは許されない」と説明。17日には、複数の動画が最大2時間余り視聴できる状態だったことを明かした。

    午前11時9分(太平洋夏時間)から、殺害シーンを含む録画動画やライブ動画が計3本、断続的にアップロードされた。だが、ユーザーからの通報を受けて、動画の存在を把握し、閲覧できないようにしたのは午後1時22分だった。

    Facebookは通報プロセスを再点検し、人工知能なども活用して、改善に努めるという。

    マーク・ザッカーバーグCEOは18日、ディベロッパー向け会議F8で、「このような悲劇が繰り返されないように、最大限の努力を続ける」と話した。

    悲嘆にくれる家族

    亡くなったゴッドウィンさんの家族は涙ながら取材に答えている。「とってもいい人だったんです。大切な物も全部あげてしまうような。カメラがあるから言うんじゃない。とってもいい人だったんです。逝ってしまったなんて。どうしたらいいかわからない」

    I just spoke with a man and woman who said the man killed in the FB live video was their 78 year old father… https://t.co/NzXhQbh2FI

    家族はCNNのインタビューにも応じた。

    Facebook: video.php

    娘ナージャさんは涙をこらえながら「最初は怒りを感じました。なんで父にこんなことが起きたのかと。なんでネットに載せたのかと」。家族は、動画をリツイートしないよう呼びかけている。

    「容疑者を許す」

    一方で、容疑者が死亡する前、家族は口々に容疑者を許すと話し、出頭を呼びかけていた。

    息子ロビー・ミラーさんは「犯人には死んでほしくない。正義が下されてほしい」「いま心には穴が空きました。でも一つ言わせてください。犯人を許します」と明かした。娘タミーさんも「私たちは憎しみに溢れた家族ではありません。父を奪いましたが、でも憎んではいません」と涙ながらに訴えた。

    元妻ドロシー・クラプトンさんも語りかけていた。「犯人には自殺してほしくない。警察も殺すようなことはしないでほしい。出頭してほしい。イエス様は犯人の罪のためにも死んだのですから。私の罪のためにも死んでくださったように」

    ゴッドウィンさんが殺害されたのは、キリスト教の復活祭の日だった。

    This is me and my dad on Father's Day 2015. #RobertGodwinSr RIP.

    (サムネイル写真はStephen Lam / Reuters)

    この記事は英語から編集・翻訳しました。