元カレや自分のそっくりさんとのデートは楽しい? イマドキの出会いアプリの未来感がすごい。

    顔認識技術を活用した新アプリが物議をかもしている。

    Dating.ai 」というアプリが登場した。顔写真をアップロードすると、複数のデートアプリやサイトに載る膨大なプロフィール写真を横断検索して、似た顔の人を見つけてくれる。アップする写真は芸能人でもいい。大好きだったあの人でも。お望みなら自分の顔でも——。

    表示された写真をクリックすると「Tinder」「Match.com」「Plenty of Fish」といったデートアプリのプロフィールを読める。

    結果はこんな感じだ。プライバシー保護のため大部分の画像はぼかしたが、確かに、ライアン・シークレスト(左)やビヨンセ(右)に"似ている"顔が現れた。

    BuzzFeed Newsが試してみると、顔認識技術はかなりの精度だった。カニエ・ウェストやジェニファー・ローレンスを試したら、こうした芸能人の写真を勝手にプロフィールに使っているユーザーをちゃんと探してきた。その他は、"クリソツ"とは言えないまでも、似た雰囲気の人たちが並んだ。

    記者たちの顔写真でもやってみた。ドッペルゲンガーは現れなかったが、なんとなく似ている人たちが現れた。その似ている具合は、なんだか気色が悪かった。

    サンフランシスコ支局のケイティ・ノトポロス記者(35歳)は、表情や照明が異なる2枚の写真をアップロードしたところ、いずれの場合もニューヨークに住む同い年の女性がトップに現れた。確かに似ていた......。

    あなたがこれまで一生懸命手動で探してきた、あの芸能人に似た「王子様」「お姫様」を一発検索できる夢のアプリに映るかもしれない。デートで顔を重視するなら......。

    プライバシーは?

    だが、ここまで読んで微妙な問題に気づいた読者もいるだろう。プロフィール写真が使われたユーザー側のプライバシーだ。

    「Dating.ai」の創業者ヒース・アーレンス氏はBuzzFeed Newsの取材に、問題はないと反論する。「デートアプリを使っているなら、見つけてもらいたいってことでしょう」

    現在1万5千人ほどのユーザーがいるこのアプリ。アイデアは、アーレンス氏らが顔認証ソフトを開発する中で浮かんだという。

    配偶者や恋人がデートアプリを隠れて使っていないか調べられるTinderのAPIを使ったアプリの存在を知り、開発してみることにした。「オフィスが独身男性だらけだから、こういう方向性になった」とアーレンス氏。

    だが、Tinder広報に取材すると、TinderはAPIを自動スクレープすることは許可していないという。「開発者たちに連絡し、このアプリは利用規約に違反すると伝えました。先方は問題を解消すると言っていました」と広報。

    一方、アーレンス氏は取材に「非常に生産的な話し合いをしている」と話し、TinderがAPIの使用をやめるように言ってきたかは明らかにしなかった。

    Plenty of Fish広報は取材に、App StoreからDating.aiを削除してもらうように働きかけていると話した。同じ親会社IACが運営するTinderとは違う対応。アーレンス氏にこのことを伝えると、「知らなかった」と話した。

    この先、このアプリがどうなるかは不透明だ。だが、現時点ではApp Storeに載ったままになっている。

    アーレンス氏らは、Dating.aiはイノベーションを起こすと考えている。旅行業界を革新したプライスラインやエクスペディアの登場になぞらえている。

    プライスラインはかつて、消費者が航空券の値段を示せば、それにマッチする航空会社のチケットを探してくる「逆オークション(NYOP)」を提案した。マッチすれば購入できる。

    このアプリも、欲しい顔を示せば、その顔の持ち主を探してくるというわけだ。マッチすればデートにこぎつけられる。

    「消費者はイノベーションを求めている。逆オークションでは値段を示したように、ここでは人の顔を示しているわけだよ」


    この記事は英語から編集しました。