アマル・クルーニー弁護士は3月9日、国連本部で、イスラム国(ISIS)のジェノサイドを止め、裁判にかけるべきだと訴えた。
前列中央に座るのはナディア・ムラドさん。イラクの少数派ヤジディ教徒の女性で、家族をイスラム国に殺された。クルーニー弁護士が代理人を務める。(過去記事「性奴隷にされた難民女性が国連親善大使に 「ジェノサイドが起きている」とアマル・クルーニー弁護士」)
それを「国連でアマル・クルーニーは妊娠したお腹をひけらかす」という見出しで伝える記事。ネットで物議を醸した。
このツイートはこんな記事にリンクされている。「国連での演説前、アマル・クルーニーは妊娠したお腹でバッチリ決める」。若い女性向けにタイム社が配信するサイトだ。
記事の内容を批判する声も。「イスラム国を生きのびた女性をアクセサリーのように扱っている」
「膨らんだお腹の方が、国連でのジェノサイドの審議より、クリックを稼ぐんでしょうね」
クルーニー弁護士の外見に焦点を当てたのは、タイム誌だけではなかった。
「国連に向かうとき、妊娠したアマル・クルーニーは双子で膨らんだお腹をひけらかす」
「国連での演説のため、アマル・クルーニーはシックな黄色のドレスを着て、大きくなるお腹の膨らみを見せびらかす」
コラムニストのサラ・ディタムさんは、女性は「膨らむ子宮を支える部品」と英インディペンデントに寄稿して、男性社会とメディアを痛烈に批判した。
クルーニー弁護士は国連で何を訴えたのか。
「イスラム国は過去3年だけで、襲撃を仕掛けたり、引き起こしたりして、シリアとイラク外の31カ国で2千を超える人たちを殺しました。イラクではすべてのコミュニティに犠牲者を出しています」
「国連はナチスが犯したジェノサイドを『再び起こさない』というために、世界が作りました」
「変化をもたらさなければ、歴史が私たちを裁くでしょう。行動を起こさないことにどんな言い訳もありません。イスラム国の犯罪はそんなに残酷ではないなどとは、強国の利益が阻んでいるなどとは言えません」
「法的責任を問わないことはただ、復讐に燃えた暴力の連鎖へとつながります。戦場でイスラム国を倒すことは十分ではありません。イスラム国の背後にある思想を倒さねばなりません。その残虐性をさらし、犯罪者たちに正義を下すのです。犠牲者たちが求めているのも正義です」
「ルワンダを繰り返してはいけない。行動が十分ではなく、遅すぎたことを後悔しているでしょう。イスラム国のジェノサイドを許してはいけません」
タイム誌の広報はBuzzFeed Newsの取材に、見出しを「アマル・クルーニーが国連でイスラム国について演説する」に更新したと話した。
この記事は英語から翻訳・編集しました。