中国で「トランプ」使うため……米次期大統領の10年に及ぶ法廷闘争とは

    「トランプ」という商標はすでに他の人が取得していた。

    米国大統領選で予想外の勝利を収めた数日後。ドナルド・トランプ氏は、中国で進めている建設計画に「トランプ」という名称を使用する権利をようやく獲得した。これは、10年以上にわたる闘いの末のことだった。

    だが、中国のネット上では当初、トランプ氏は「訴訟を起こして敗訴した史上初の米国大統領」だと信じられていた。中国版ツイッター「微博(Weibo)」のユーザーが11月13日(現地時間)、法律関連の公式データベースで発見した裁判書類のスクリーンショットを投稿したからだ。

    この裁判書類には、1946年1月14日生まれで、住所が「ニューヨーク市5番街725番地」になっている男性の名前「唐纳・川普」(トランプ氏の中国語名)が記載されていた。それによると、2015年に大統領選への出馬を宣言したトランプ氏は、その直前、中国での商標権訴訟に敗訴していることになる。

    大統領選の後、トランプ氏の訴訟での敗訴は、『人民日報』や『環球時報』、中国国際放送(CRI)の英語番組など、中国の複数の国営メディアで大きく取り上げられた。

    U.S. President-elect Donald Trump lost lawsuit over his trademark in China, twice https://t.co/QqHqsO9WJC

    米国次期大統領のドナルド・トランプ氏、中国での商標権訴訟で2度敗訴

    ―中国、人民日報 (@PDChina)

    中国の商標局の一覧を見ると、2006年に、遼寧省出身の董偉(ドン・ウェイ)という男性が、トランプ氏が出願する2週間前に、建設分野で「Donald Trump」と「Trump」の商標をすでに登録している。

    商標局は2009年、トランプ氏の主張の一部を退けた。実業家から政治家に転身したトランプ氏の名前は、本人が主張するほど中国では有名ではなく、他の者が先に登録した商標を認める理由はないと判断したのだ。

    トランプ氏はこの結果を不服として中国の商標審判部に再審を求めたが、2つの商標が非常によく似ており、同一市場での申し立ては認められないとして、2014年に棄却された。

    トランプ氏は、いかにも彼らしく、あきらめずに今度は商標審判部に対する行政訴訟を起こした。だが、北京市の第一中級人民法院は、商標審判部の決定を支持した。トランプ氏はさらに北京の高級人民法院に上訴したが、この試みも実を結ばず、200元(約30ドル)の裁判費用を支払わなくてはならなかった。それでこの件は決着したように思われた。

    中国のネット界は、米国次期大統領と中国が思いがけず結びついた訴訟の話に喜んだ。

    「トランプ氏が中国からの輸入品に45%の関税をかけたがっている理由が、やっとわかったよ」

    しかし、トランプ氏が一般の予想を覆して米大統領選で勝利した数日後の11月13日、商標局は意外な判断を示した。同局が公表した商標審査に関する最新の週次通知では、同氏が所有する会社のロゴに対して使用許諾が与えられていたのだ。

    中国政府のウェブサイトに掲載されている公文書によると、トランプ氏は現在、「TRUMP PLAZA」「TRUMP HOME」「TRUMP ESTATE」など、英語と中国語で75以上の商標権を保有しているようだ。

    このデータベースをもっとよく調べると、トランプ氏は大統領選に出馬中も、中国で商標登録に向けて積極的に動いていたことがわかる。

    悪意のある商標出願は中国で広く問題になっているため、トランプ氏の懸念はもっともだ。Appleは2016年、中国市場でレザー製アクセサリの商標権を失った。2015年には、マイケル・ジョーダン氏も商標権訴訟で敗訴した。いっぽう、Facebookなどは幸いにも勝訴した。

    この記事は英語から翻訳されました。