トランプ氏の政権幹部に選ばれたバノン氏とは

    ブライトバートは、反差別団体から強い非難を浴びてきた

    ドナルド・トランプ次期米大統領が、政権幹部の人選を進めている。首席戦略官・上級顧問には、保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」元会長のスティーブ・バノン氏が選ばれた

    トランプ氏の選挙キャンペーンの最高責任者を務めてきたバノン氏は、「白人至上主義」や「反ユダヤ主義」を掲げてきたことから、政治戦略の専門家や反差別団体から批判を集めてきた。

    Bloombergの2015年の取材によると、バノン氏は海軍とハーバード・ビジネス・スクールを経て、ゴールドマン・サックスで勤務した経験を持つ。1990年代に仲間とメディア買収事業を立ち上げ、映画のプロデュース業も手掛けた

    2016年初めにブライトバート・ニュースを退職したニュース・エディターのベン・シャピロ氏は、このサイトには創業当初の理念はもはやなく、「銀河系を脅威に陥れるイデオロギーの混乱と馬鹿らしさの要塞」となっている、と評している

    差別的な活動を監視する団体「The Southern Poverty Law Center(SPLC)」は、「ブライトバート・ニュースが、白人至上主義のプロパガンダを作り出すメディアになった大きな理由がバノンである」とツイート。

    Stephen Bannon was the main driver behind Breitbart becoming a white ethno-nationalist propaganda mill https://t.co/IyJ6ET2vaS

    米国最大のユダヤ人団体「名誉毀損防止組合(ADL)」は、「白人の国粋主義者と反ユダヤ主義、人種差別主義者の集団であるオルタナ右翼の人たちの中心的なニュースサイトのトップだった人物が、合衆国の政権幹部になるということを悲しく思っている」とした。

    We at @ADL_National oppose the appt of Steve Bannon to sr role at @WhiteHouse bc he & his alt-right are so hostile… https://t.co/hKpn4IJAk1

    バノン会長のもと、ブライトバートはマイノリティー、女性、移民、LGBTの人たちを攻撃する、扇動的で人種差別的なコンテンツを配信してきた。こちらの記事は、反イスラムの発言で知られるパメラ・ゲラーによる、「イスラム系移民が地域に与える打撃」というタイトルの記事だ。

    この記事は、トランプ氏への支援をしなかった共和党議員を「裏切り者のユダヤ人」と呼んでいる。

    こちらはバノン氏の記事。大統領選の討論会の司会をしたFOXニュースのアンカー、メギン・ケリーを「大胆な」服を着用したことを罵倒。そして、金髪の彼女は、ジャーナリストよりランジェリー・モデルに適していると書いた。

    FOXニュースのCEOだったロジャー・アイルズがセクハラで失脚した時には、それは民主党の差し金だと書いた

    ブライトバートには、警官による黒人の銃撃事件になどに抗議する反差別運動「ブラック・ライブス・マター」への対抗措置として、黒人による犯罪の記事を集めた「ブラック・クライム(黒人の犯罪)」というセクションもある。

    女性やマイノリティに対するハラスメントの結果、Twitterから永久的に利用を禁止されているマイロ・ヤノポロス氏にも記事を執筆している。こちらはヤノポロス氏の「フェミニズムで女性は醜くなるのか?」というタイトルの記事だ。

    ヤノポロス氏は、アメリカの人工中絶を行うNGO「プランド・ペアレントフッド」の活動をホロコーストのようだとした。

    ネット上での女性の嫌がらせの解決方法について、ヤノポロス氏は、女性はにネット空間から出ていくべきだと主張する。そしてこう書いている。「ドナルド・トランプや優位にある男性たちは、フェミニストの泣き言なしにインターネットを支配し続けるだろう」