人工衛星が捉えた「ピンク色の糞」─ 南極ペンギン150万羽発見

    手がかりは、衛星画像に写っていた「ペンギンの糞」の大きな塊だった。

    南極大陸の僻地に向かった学術探検が、うれしい驚きをもたらした。気候変動により個体数が減少していたペンギンが150万羽以上もいる、秘密の隠れ家が見つかったのだ。

    3月2日付けで発表された研究論文によると、これまで知られていなかったアデリーペンギンの「スーパーコロニー」が発見されたのは、南極半島の北東側にある、氷で覆われた離島群、デンジャー諸島だ。

    論文の共同執筆者であり、ルイジアナ州立大学のアシスタント・プロフェッサーを勤める海洋学・沿岸科学研究者のマイケル・ポリートは、「これらの島はどれも、ペンギンだらけでした」と語っている。

    アデリーペンギンは南極にしか存在しない。気候変動に伴う気温上昇によって海氷が融解しつつある南極半島西側のほとんどの場所では、個体数が著しく減少していた。「けれど、東側で起きていることはこれまでわかっていませんでした。何しろ、氷で覆われていて辿り着くのが難しいので。」と、ポリートは述べる。

    これまで知られていなかった個体群の生息地があるかもしれないとわかったきっかけは、衛星画像だ。「グアノ」と呼ばれる濃いピンク色のペンギンの糞が、広範囲の帯状になっているらしいものが写っていたのだ。

    論文の共同執筆者であり、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校で生態進化学を研究するヘザー・リンチ准教授は、「まったく予想外のことでした。最初は、何かの間違いか、誤検出だろうと思いました」と語った。

    2015年12月、科学者10人のチームが、海氷が散らばるウェッデル海の端にあるデンジャー諸島に向けて、危険な旅に出た。現地に到着したチームは、予想以上に多いペンギンを目撃した、とポリートは言う。

    チームは、衛星画像のほか、様々な方向、角度から何千枚もの写真を上空から撮影するドローンの助けを借りて、合計75万1527個の巣を数えた。計算上約150万羽のアデリーペンギンがいることになる。これは、南極に住むペンギンの約20%にあたる数だ。

    「これらのコロニーを見つけたのは、かなりの大発見です。おそらく、存在を知られていなかったペンギンの最後の個体群の発見になるでしょう。」とリンチ准教授は語る。

    今回の発見により、南極半島西側におけるペンギン個体群減少の原因は気候変動だという説が強固になる、とポリートは言う。海氷がもっと安定している東側では、アデリーペンギンがうまく繁栄していることは明らかであるからだ。

    「この場所に多くのペンギンがいるだけでなく、これらの個体群が、西側の個体群が減少していた同時期にも安定していたとみられる点が重要です」とポリートは語る。

    この研究は、種の保護にとって重要だ。デンジャー諸島の狭い範囲が、アデリーペンギンにとって貴重な避難所となりうることを示しているからだ。

    この研究でロボット工学と画像化を監督したノースイースタン大学のハニュマント・シン教授は、次のように語る。「この研究が投げかける最大の疑問は、ありふれた風景の中に、150万羽ものペンギンがどうやって隠れていられたのかということだと思います」

    「これは、われわれがこれまで世界を十分に探査していない事実を示しています」とシン教授は付け加えた。「2~5年後には、彼らが今回以上の数になっていることを願っています」


    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan

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