10人を殺害した19歳男に終身刑。遺族「私はあなたを決して許さない」

    ニューヨーク州バファローのスーパーマーケットで、白人の男が銃を乱射し黒人10人を殺害した事件で、裁判所は男に対し仮釈放なしの終身刑を言い渡した。法廷では、判決が下される前に被害者遺族に発言する機会が与えられた。

    米ニューヨーク州バファローのスーパーマーケットで2022年5月、白人の男が銃を乱射し黒人10人を殺害した事件。

    同州の裁判所は2月15日、男に仮釈放なしの終身刑を言い渡した。

    捜査当局によると、ペイトン・ジェンドロン被告(19)は昨年5月14日、黒人が多く住むバファローのスーパーマーケットまで約321キロメートルの距離を移動し、銃撃の様子をライブ配信サービス「Twitch」で生配信した。

    ジェンドロン被告は10人を殺害し3人を負傷させた後、スーパーマーケットの外で逮捕された。死亡した人全員を含め、11人が黒人だった。

    事件前、同被告はインターネットに白人至上主義的な投稿を書き込んでいたことが明らかになり、黒人を狙って犯行に及んだとしている。

    法廷では、判決前に発言する機会が、被害者遺族に与えられた。

    ジェンドロン被告に姉妹を殺害されたバーバラ・マッシーさんは、こう訴えた。

    「私たちの街にわざわざ来て、黒人だからといういう理由で私たちを嫌うのですか?私たちは人間なのです」

    銃撃で一命をとりとめたものの、自分だけが生き残ったという罪悪感「サバイバーズ・ギルト」と戦う息子のために、母親のゼネタ・エヴァーハートさんも、法廷で発言した。

    「このテロリスト(被告)は事件の日、黒人の命は“意味のないものだ”と判断したのです」

    「彼は人命を軽視し、無慈悲にも私の息子と私のコミュニティを攻撃しました。彼は怪物であるだけでなく、臆病者です」

    被告に父親を殺害された遺族は、「私はあなたを決して許さない」と訴えた。

    「父はあの時、死ぬべきではなかったのです。他人の死ぬ時を決めることができると思うなんて、被告は自分を何様だと思っているのでしょうか」

    遺族の関係者とみられる男性が、同被告に詰め寄ろうとして取り押さえられる一幕もあった。

    男性は、「私たちがどんな思いでいるのか、あなたにはわからない」と被告に詰め寄るも、警官によって取り押さえられた。

    ジェンドロン被告は昨年11月に罪を認めている。憎悪犯罪でも起訴されており、今後死刑になる可能性もある。

    非営利団体「ガン・バイオレンス・アーカイブ」によると2月17日現在、アメリカの銃による死者は、自殺を除き2000人を超えているという。

    この記事は英語から翻訳しました。翻訳:オリファント・ジャズミン