韓国系アメリカ人女性に「アジアへ帰れ」と男が暴言、女性みずから撮った動画が拡散

    標的になった女性が差別言動を動画に撮影、拡散

    ロサンゼルスで、韓国系アメリカ人女性に対して「アジアへ帰れ」「トランプ万歳。おまえらぶちのめしてやる」などと暴言を浴びせた男性が、その場に居合わせた人から顔面にパンチを浴びせられる一幕があった。男性が暴言を吐く様子を女性がみずからとらえた動画は広く拡散されている。女性に話を聞いた。

    2月5日朝、ジーン・ホさん(29歳)は仕事の打ち合わせでノース・ハリウッドへ向かうため地下鉄に乗っていた。しばらく目を閉じていたあと、ふと目を開けると男性がじっとこちらを見ているのに気づいた。男は「疲れてるのか? 眠そうだな」と声をかけてきたという。

    自分に話しかけているのだろうかと思いながら、ホさんは無視した。からかわれているのではないかと感じ、関わりたくなかった。

    男はさらに聞いてきた。「英語しゃべれるのか? アメリカ人か?」

    ホさんは「ええ」とだけ答え、それ以上何も言わなかった。近くにいた他の男性乗客2人がホさんと視線を交わし、この男は言動がおかしいと思う、と目で伝えてきた。

    ノース・ハリウッド駅で降り、スマートフォンで地図を調べていると、男がさらに声をかけてきた。「遺伝子的にどこからきたんだ? 韓国人か?」

    「私を困らせようとしてるんだなと感じました」とホさん。そこで男の言動を動画にとることにし、男が人種差別的な態度で嘲笑する様子を記録した。動画はTwitterとFacebookに投稿し、Twitterでは2月12日の時点で約2万回リツイートされている。(Facebookにあげた動画は「当社の基準に反している」として削除されたといい、ホさんは「なんとも皮肉な話です」とコメントしている)

    This guy approached me on the metro and asked if I was American, if I spoke English. I replied yes and ignored him.… https://t.co/pMYSHh0gQk

    動画の中で男は中指を立ててみせながら「くたばれ、アジアに帰れ」と発言している。

    「やっちまおうぜ、トランプ、トランプ万歳。おまえらをぶちのめしてやる」

    さらに「おまえはブスで平たい顔で鼻も醜い」とたたみかけ、アジア人男性はペニスが小さい、と続けている。

    ホさんによると、動画には映っていないが、カメラを止めた直後、新たな展開があった。地下鉄の中で目くばせをしてきた男性の一人が現れ、男の顔にパンチを浴びせたのだ。

    「即座に市民の裁きが下されたわけです」とホさん。

    男は引き続き差別的な言動をまきちらした。男にパンチを浴びせたのはアフリカ系男性だった。男は「オリの中に戻っとけ。おまえら黒人どももみんな一緒だ」と言い、警察を呼ぶぞとも口にしていたという。

    ホさんは自分から警察を呼ぶのはやめることにしたという。

    動画を見たロサンゼルス市警察の広報担当はBuzzFeedNewsに対し、「本件は2人がお互い口頭での言い合いになっていますが、実際に犯罪行為は発生していません」との見解を述べた。

    チャイナタウンにある地域のアートスペースでプログラムディレクターを務めるホさんは、動画を投稿する前に打ち合わせに出席した。

    「私が標的にされて犠牲になった、と多くの人が思ったようです。私は自分が犠牲になったとは感じていなくて、こうした状況に今回のように対処できたことをとても誇りに思っています」と説明し、動画を見た他の人に共感してもらえたのはうれしい、と語る。

    動画を見た一人、俳優のカイ=エリック・エリクセンさん(38歳)は、動画の男を知っているとTwitterで返信した。通っているノース・ハリウッドのスポーツジム「24 Hour Fitness」の会員だという。ジムは動画が撮影された場所のすぐ隣にある。

    「みんなあの男だと知ってると思います。あの大きなサングラスをかけてるので」とエリクセンさんは話す。「あのジーンズもいつも履いています」

    エリクセンさんは6日、ジムを訪れ、男の会員資格を取り消してほしいとアシスタントマネジャーに訴えた。翌7日もジムのマネジャーに対して再度訴えている。「こうした人種差別主義者がぞろぞろ出てきて好き放題すれば、それなりの結果を招くんだとわからせるべきです」

    エリクセンさんによると、マネジャーは7日、状況を調査中であると説明したという。

    同ジムの担当者にコメントを求めたが、現時点では回答は得られていない。

    ホさんは、男をジムから追放すれば、自分にとって正義がなされたことになるのだろうか、と考えたという。

    「もしそうしたからといって、彼の考え方が変わるでしょうか? 彼が抱えている憎悪の気持ち、あるいは無知、痛み、トラウマの根本にどう影響するでしょう? 何も変わらないような気がします」とホさんは話す。「自分とは別の‘他者’に向けられる彼の怒りを大きくするだけかもしれません。彼のしたことが拡散されて顔がさらされただけで十分だと思います」

    ホさんはTwitterで次のように母親への感謝を付け加えた。「母親からはずっと図太い神経だってさんざん非難されてきたけれど、ブスで平たい顔呼ばわりされてもはねつけられたしありがとうと言いたい」

    I’d like to thank my mom for berating me all my life for the tough skin to brush off being called ugly/flat face 😂

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan

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