「私たちも同じ人間」 催涙ガスを発射した米国境警備隊へのメッセージ

    写真の女性は「子供達も私も死ぬのではないかと思いました」と語る。

    メキシコ、ティファナ—— 娘二人の手を引きながら催涙ガスから必死に逃げる女性。11月25日、アメリカとの国境沿いで難民認定を求める移民キャラバンと国境警備隊との間で衝突が起き、警備隊が催涙ガスを発射した。

    ティファナ川で一人の母親が娘達の腕を掴み催涙ガスから逃れる様子を捉えたこの写真は、アメリカ・メキシコ間の国境沿いで行われていた平和的なデモが、たった数分のうちに混乱した状況に陥った様子を伝えている。

    国境の検問所があるカリフォルニア州サンイシドロを目指す移民キャラバンのうち、約500人がデモを行なっていたが、メキシコ連邦警察に足止めされた。

    その後、国境検問所入り口近くの脇道に通じるティファナ川を徒歩で渡ろうとする人々も現れ、連邦警察はチャパラル国境の通りを有刺鉄線や盾で封鎖した。

    米国税関・国境警備局(CBP)によると、複数人の移民がフェンスの穴を通り抜けようとしたり開けたり、警備隊に石を投げたりなどしたため催涙ガスや胡椒弾を発射したという。

    写真の女性はホンジュラス出身のマリア・メサ(39)。彼女が5人の子供達と国境フェンス沿いに立っていたところ、警備隊から彼らに向かって少なくとも3弾の催涙ガスが発射された。

    「悲しくて、怖かった。そして泣きそうになった時、娘達の手をつかんで逃げました。ガスを吸い込んだせいで、子供達も私も死ぬのではないかと思いました」とマリアはBuzzFeedの取材に答えた。

    催涙ガスが発射された時、マリアは国境を突破しようとしたわけではなく、キャラバンの他のメンバーと様子を伺っていただけだったという。

    催涙ガスから必死に逃れる中、娘の一人はサンダルがサンダルを無くしてしまった。コンクリートの河川敷を登ることができなかったが、通りがかった人に助けられ無事に引き上げられた。

    息子の一人は催涙ガスで失神しかけたが、水で顔を洗うと回復したという。しかし子供達は今も国境付近に近づくのを恐れている。

    「私たちは苦しんでいます。でも、だからこそ神が助けてくれると信じています。私は、子供達を守りたい一人の母親にすぎないのです」

    「(警備隊も)私たちが同じ人間であるとわかっているはずです。子供達にもこのような対処をするのは、間違っています」

    「彼らにだって子供がいるでしょう。我が子を大切に思う気持ちがあるはずです。そしてそれは私たちも同じなのです」

    インタビュー映像はこちら(英語字幕)。

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    この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子