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125回も殴られ重傷を負ったアジア系女性。ニューヨークではアジア系に対し1万件以上のヘイトクライムか

米ニューヨーク州ヨンカーズで、高齢のアジア系女性に対するヘイトクライム事件が起きた。防犯カメラが犯行の一部始終を捉えた。

高齢のアジア系女性を125回も殴った男を逮捕

3月11日、米ニューヨーク州ヨンカーズで、高齢のアジア系女性に対する差別意識からで暴力を奮うヘイトクライムをはたらいたとして、42歳の男が殺人未遂と暴行容疑で逮捕された。

捜査関係者によると、ヨンカーズ在住のタメル・エスコ容疑者は、67歳のアジア系女性が、建物に向かって歩いていた際、「アジアのクソ女」と声をかけたという。

女性が建物のロビーに着くと、男は女性に殴りかかり、地面に倒した。

計125回以上殴り、足で踏みつけ、唾を吐いたという。

捜査関係者の話では、女性は「頭部と顔面に複数の挫傷と裂傷、顔面骨の骨折、脳出血」と診断されたという。

3月14日時点で女性の容体は安定し、回復に向かっている。

犯行の一部始終は、近くの防犯カメラに収められていた。

警察当局は、防犯カメラの映像を公開している。

「我々のコミュニティでは、ヘイトクライムを許さない」

ヨンカーズ市警察本部のジョン・ミューラー本部長は、声明文を出した。

「今回の事件は、いままでで最も恐ろしい暴行事件のひとつです。体が不自由な高齢の女性への暴行は卑劣であり、女性の人種を理由とした暴力は、さらに卑劣な行為です」

「我々の地域では、暴力的な行動は許されないという憎しみに満ちたメッセージのもと、容疑者は法律が許す限りで最大の罰を受けるべきです」

「私たちの心は、女性とその家族とともにあります。女性の容体が完全に回復することを祈っています」

ヨンカーズ市長のマイク・スパノ氏は、「この町では、ヘイトクライムを一切認めない。引き続き、女性とのその家族に祈りを捧げます」と述べた。

当時、警察が現場に駆けつけた際、女性は顔面をひどく損傷し、意識不明の状態でロビーに倒れていたという。

容疑者は、建物の外にいったところを警察に取り押さえられた。

警察当局によると、エスコ容疑者はニューヨーク市郊外のウェストチェスター郡刑務所の拘置施設に勾留された。

3月16日に1年を向かえるアトランタ銃撃事件が、きっかけか

AAPI(アジア・太平洋諸島系)へのヘイトに反対するアメリカのNPO「ストップAAPIヘイト」は、BuzzFeed Newsに対し、今回の事件を「気持ち悪く、恐ろしい攻撃だ」とする声明を出した。

同団体は、2021年の米アトランタのマッサージ店銃撃事件が、今回の犯行の引き金になったのではないかと述べている。

米アトランタの銃撃事件では、アジア系女性6人を含む8人が犠牲となった。

ストップAAPIヘイトは声明で、「全米のAAPIコミュニティは、たくさんの痛みや苦しみを経験してきました。私たちは、被害者へのサービス提供や暴力防止の取り組みを、引き続き提唱しなければならない」としている。

アジア太平洋系団体OCAアジア太平洋アドボケイツのトゥ・グエン事務局長は、次のように語った。

「今回の恐ろしい事件は、高齢のアジア系アメリカ人女性が依然として、不釣り合いで、憎しみに満ちた暴力に直面している事実を改めて示すものです」

「我々のコミュニティの安全を保つため、さらなる対策が必要です」

アジア・太平洋諸島系に対するヘイトクライムは、1万件以上も報告

米国では、新型コロナウイルスのパンデミック以降、アジア系(特に高齢者や女性)に対する暴力事件の報告が、急激に増えている。

アジア・太平洋諸島系人に対するヘイトクライムの公式な統計は、必ずしも正確ではない。

しかし、報告書によると、アジア太平洋系人は、他の人種と比べて、警察に暴行の被害を知らせたがらないという傾向があることが明らかになっている。

ストップAAPIヘイトは、2020年3月から2021年12月にかけて、アジア太平洋系に対するヘイトクライムが1万件以上になると発表している。

特に人口の多い都市では、アジア系に対するヘイトクライムが急増していると報告されている。

ヨンカーズから約30キロ南のニューヨーク市では3月上旬、2時間で計7人のアジア人女性を襲撃した事件も発生している。

2月には、ニューヨーク市のアパートで、韓国系女性クリスティーナ・ヨナ・リーさん(35)が、見知らぬ男にあとをつけられ、刺殺される事件も起こった。

1月には、ニューヨーク・マンハッタンの地下鉄で、ミッシェル・アリッサ・ゴさん(40)が、背後から男に押され、電車にひかれて亡くなった。

この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙島海人