ピエール瀧容疑者の逮捕でNHKが映画差し替え。代わりの映画の俳優は薬物で死亡

    16、23日夜のBSプレミアムの映画は、ピエール瀧容疑者が出ていた「3丁目の夕日」から「インディ・ジョーンズ」に。逮捕を受けた判断だったが、差し替えられた映画には薬物過剰摂取で死亡したリバー・フェニックス氏が出ていた。

    ピエール瀧容疑者が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたことを受け、NHKが「差し替え」をした映画が新たな注目となっている。

    NHKは、3月16日と23日にBSプレミアムで放送を予定していた「ALWAYS 続・三丁目の夕日」と「ALWAYS 三丁目の夕日’64」を別の映画と差し替える。

    放映されることになったのは、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」と「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」。

    うち3月23日に放送される「最後の聖戦」には、俳優リバー・フェニックスが出演しており、話題となっている。

    彼は、瀧容疑者が使用した疑いが持たれている薬物と同じコカインを過剰摂取して死亡したからだ。

    死因について当時、ロサンゼルス群検視局は「コカインとモルヒネを致死量を超えて服用したため」と発表している(読売新聞、1993年11月13日)。

    Twitter上では、フェニックス氏に言及しながら、映画差し替えをめぐり「筋が通らない」「フェニックス氏は良いのか」「判断基準がわからない」などの意見が多く上がっていた。

    取り止めや差し替え選定の判断基準は

    日本人俳優の薬物使用容疑では映画の放送を中止し、海外の俳優であったら自粛の対象にはならないのか。

    BuzzFeed Newsは、放送取り止めや差し替え用映画の選定の基準について、以下の点をNHKに質問した。

    1. ALWAYSの放送差し替えは瀧容疑者の逮捕が原因か。その理由は。
    2. 代わりの作品の選定で、俳優リバー・フェニックス氏の薬物使用問題は議題に上がったか。それとも同氏の薬物問題について知らなかったのか。
    3. 同映画への差し替えは「不適切ではないか」という意見に対しどう考えるか。
    4. 日本国内での犯罪内容だけが差し替えの検討材料となるのか。今回の判断の理由と、一般的な判断基準は。
    5. この件や、「いだてん」「あまちゃん」など瀧容疑者の出演番組のカットや配信停止について、視聴者、特にピエール容疑者のファンの方々からはどのような意見がよせられているか


    NHKの回答は…

    NHKによると、差し替えは「番組出演者の逮捕を受けた措置」。インディ・ジョーンズ両作は、「もともと近く放送予定があったもの」だったという。

    その判断基準に関しては「どの番組をどのように編成していくかは個別に判断しています」とし、俳優フェニックス氏の薬物使用問題などについては言及しなかった。

    そのうえで、「視聴者のみなさまから様々な反響をいただいております。いただいたご意見・ご指摘は、今後の対応の参考とさせていただきます」とだけ回答するに止めた。

    署名活動も

    今回の問題が発覚後、NHKを含むテレビ各局は、瀧容疑者の出演するテレビ番組や映画の放映を相次いで取りやめた。

    また、ソニー・ミュージックレーベルズは「電気グルーヴ」のCDや楽曲の出荷・配信停止も発表した。

    一方で、音楽家の坂本龍一さんも「なんのための自粛ですか?」「音楽に罪はない」とTwitterで発信するなど、自粛ムードに反対する意見も多く上がっている。

    配信停止などの撤回を求める署名も始まっており、3万4千人筆以上集まっている。

    署名発起人のひとりで、音楽研究家のかがりはるきさん(@kgrhrk)さんはBuzzFeed Newsの取材にこう語っている。

    「容易に正解・不正解を決められる話題ではありませんが、『不祥事が起きる→関連作品はすべて封印』といった対応に違和感を抱く人たちの存在が可視化されることで、今後の対応のあり方について、建設的な議論が交わされていくことを期待したいです」

    (サムネイル写真:時事通信、Getty images)