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「死亡したシカの胃から出てきたのは…」 奈良の愛護団体が訴えつづける思い

「一般財団法人奈良の鹿愛護会」によると、今年3〜6月にかけて死亡したシカ14頭のうち、9頭の胃の中からレジ袋や包装用ビニールなどの塊が発見されました。

「突然ですが、これはなんだと思いますか?」

奈良に生息するシカの保護に取り組む「一般財団法人奈良の鹿愛護会」が、Twitterに投稿した写真が話題を呼んでいます。

突然ですが、これは何だと思いますか?これは死亡したシカの胃(第一胃)からでてきたビニール袋の塊です。重さは3.2キロもありました。 続きはスタッフブログ「奈良公園にゴミを捨てないで!」をご覧ください>> https://t.co/MlRLWbuiN5 #奈良の鹿愛護会 #donotlitter #naradeer

茶色い物体の正体は、死亡したシカの胃から出てきたビニール袋の塊でした。

奈良の鹿愛護会によると、死亡したのは推定17歳のメス。3月下旬に東大寺南大門付近で弱った状態で保護され、翌日、同会の保護施設「鹿苑」内で死亡しました。

死因を解明するために解剖したところ、第一胃の中から重さ3.2kgのビニールの塊が発見されました。

保護された当時、シカはやせ細っており、本来なら40kgほどあってもおかしくない体重が、33kgほど(解剖前)しかなかったそうです。

同会は写真を公開し、「こんなにたくさんのビニール袋が第一胃に詰まっていたら、いくら食べ物を食べても胃の先には流れていきません」とブログなどで訴えました。

「人の食べ物を与えないで」

どうしてこのような状態になってしまったのか。

同会の担当者はBuzzFeed Newsの取材に、「胃内でビニールが消化されず、年月をかけて蓄積されていったと考えられます」と語ります。

「人がスナックやパンをシカに与えると、シカたちも人の食べ物を食べるようになります」

「そして、食べ物が入ったビニール袋や包みを一緒に食べてしまい、落ちているビニールも、食べ物の匂いがすると食べるようになってしまいます」

同会によると、今年3〜6月にかけて死亡したシカ14頭のうち、9頭の胃の中からレジ袋や包装用ビニールなどの塊が発見されました

奈良公園周辺には1200頭以上の野生のシカが生息していると言われ、国の天然記念物に指定されています。同会はこう訴えています。

「『奈良のシカ』は、野生動物でありながら、街中で暮らしているという点で、世界的に見ても非常に稀有な存在です。しかし、人と近接して暮らすことで、本来食べ物でないものを食べてしまい、健康被害に遭うこともあります」

「ゴミを捨ててしまうと、シカが食べてしまうことがあり、死んでしまうこともあります。ですので、奈良公園ではゴミは持ち帰っていただき、ビニール袋を食べられないよう注意してください。また、むやみに人の食べ物をシカに与えないよう、お願いします」