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ゲイだと暴露され学生が転落死、遺族の訴えをすべて棄却 一橋大アウティング事件

ゲイであることを明かされ、心身に不調を来して亡くなった学生の遺族が、大学側を訴えていた。

ゲイであることを同級生に暴露された一橋大法科大学院の学生(当時25)がキャンパス内の校舎から転落死した「一橋大アウティング事件」。

事態の深刻さを把握していたにもかかわらず事件を防ぐことができなかったなどとして、遺族が損害賠償を求めて大学側を訴えた裁判で、東京地裁(鈴木正紀裁判長)は2月27日、遺族側の請求を棄却した。

アウティングで心身に変調..そして転落死

訴状などによると、学生は2015年6月、法科大学院(ロースクール)のクラスメート約10人が参加するLINEグループで、同級生から「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ。ごめん」などと書き込まれ、ゲイであることを暴露された。

ゲイであることを隠して生活していた学生は、それを機に心身に不調を来し、心療内科の受診が必要な状態になった。そして同年8月24日、キャンパス内の建物から転落死した。

両親は2016年3月、同級生と一橋大学を相手取り、損害賠償を求める裁判を起こした。同級生とはその後、2018年に和解が成立し、大学側との訴訟が続いていた。

原告側は本人が望んでいない形で同性愛者だと暴露する「アウティング」行為は重大なセクシュアル・ハラスメントであり、同大のハラスメント相談室や保健センターは学生から相談を受け、危険な状態にあることを把握していたにもかかわらず、適切に対応しなかったと訴えていた。

一方で、大学側は「対応に落ち度はなかった」などと主張していた。