偽のクラウドファンディングに80万円の支援 過去の成功例を無断転載、運営が削除

    CAMPFIRE側は、資金募集を始める前に「審査」を実施したと話す。

    過去にクラウドファンディングで資金調達に成功したプロジェクトを、その活動と関係ない人物が別のサービスに無断転載し、資金を集めようとしていたことがわかった。

    偽プロジェクトが投稿されたのはクラウドファンディング大手「CAMPFIRE」。目標金額は30万円で、一時は80万円以上の支援が寄せられていた。

    偽プロジェクトは通報を受けて、支援金募集の期限満了前の12月1日、CAMPFIRE運営によって削除された。

    写真や活動内容を「無断転載」

    偽プロジェクトは「CAMPFIRE」のソーシャルグッド部門「GoodMorning」に掲載された「子供でも楽しめて、社会的要素を含んだカルタを作りたい!」(現在は削除)。

    様々な社会問題をわかりやすいイラストや数字で解説した「社会問題発見カルタ」を作ることで、子供の興味関心の種を育てたい…と書かれていた。

    ところが、この活動は2018年4〜6月に「株式会社チャリツモ」が、別のクラウドファンディングサービス「Readyfor」で資金を募り、商品化に成功した「社会問題見えるカルタ」とほぼ同じ内容だった。

    偽プロジェクトには、カルタの画像や、子どもたちとカルタを楽しむチャリツモメンバーの写真、活動への思いを綴った文章などが、一部表現を変えて無断で転載されていた。

    CAMPFIREソーシャルグッド部門の責任者によると、偽プロジェクトは11月24日に申請があり、CAMPFIRE側の審査や差し戻し修正を経て、11月28日から支援募集が開始された。

    12月1日、CAMPFIREの問い合わせ窓口に「模倣プロジェクトが掲載されている」という通報があった。

    申請者に事実関係を確認したところ、無断転載したことや、チャリツモの関係者ではないことを認めたという。

    これを受けてCAMPFIREは、1日深夜にプロジェクトを中止。ページを削除した。プロジェクトに寄せられていた支援金は、返金した。

    偽プロジェクトには、1日午後9時の時点で、計14人のパトロンから目標金額の30万円を大きく超える81万8500円もの資金が寄せられていた。

    審査をしたものの…

    クラウドファンディングは、新しい事業や活動を始めたい人が資金を募り、活動内容や思いに共感したユーザーが支援する仕組み。

    CAMPFIREなどのサービス側は、手数料として支援金の一部を受け取っている。

    同責任者によると、CAMPFIREでは資金募集を始める前に、全てのプロジェクトに対して、利用規約ガイドラインに沿った「審査」を実施している。

    特に、偽プロジェクトが掲載されたソーシャルグッド部門は、審査などの結果、社会的意義があると認められたプロジェクトのみ掲載されており、手数料が通常の12%より低い、9%に設定されている。

    利用規約の禁止行為には、「第三者の知的財産権、肖像権、パブリシティ権その他の権利を侵害する行為」や「第三者の設備を不正に利用し、またはその運営に支障を与える行為」などが含まれる。

    問題となった偽プロジェクトも通常通り審査をし、申請者とは直接メールでやり取りしたと責任者は語る。

    写真や画像の権利関係について確認した際には、「問題はございません」との回答があったという。

    これまで、CAMPFIREで、他団体の活動が無断転載されていることがわかり、募集を中止した例はないという。

    責任者は今後の対策について、BuzzFeed Newsの取材にこうコメントした。

    「プロジェクト内容に共感し、支援いただいた方に対しまして、裏切る結果を招いてしまいましたこと、大変申し訳なく思っております。今後も安心して挑戦の場として活用していただくため再発防止策を敷き、サービスの向上に努めてまいります」

    気づかずに野放しの可能性も

    チャリツモ代表の船川諒さんは、12月1日に偽物のプロジェクトを発見し、Twitterなどを通じてCAMPFIREに連絡をした。

    「うちのサイトやクラウドファンディングのページに掲載していた画像や写真がそのまんま使われていて、え?なんじゃこりゃ?と思いました」

    「うちは全く関係ないし、プロジェクトを立ち上げた人も誰?って感じで。すぐにこれは何らかの詐欺だと思いました」

    @CAMPFIREjp 私たちのプロジェクトはすでにreadyforで終了しています。 https://t.co/XLTki59sDj 貴サイトに掲載されている写真は、私たちチャリツモのオリジナルの画像ですが、使用に関して何らご連絡頂いておりません。

    Twitterで連絡をした数時間後、「イノシタ」と名乗る人物から、集まった支援金の半額を譲るから、プロジェクトを取り下げさせないでほしいという趣旨のメールが届いたという。

    船川さんは「僕らは普段から自分たちの活動についてエゴサーチしているから気付きましたが、気付かないまま利用されてしまっている団体や、プロジェクトもあるのでは」と指摘する。

    BuzzFeed Newsは偽プロジェクトを立ち上げたオーナーにも、取材依頼を出している。回答があり次第、追記する。