ラブサプリ「こっそり混ぜて色仕掛け」 批判殺到でピーチ・ジョンが謝罪、販売中止

    「同意なく飲ませるのはダメ」「アレルギー持ちは命に関わる」と疑問の声があがっていた

    下着販売の「ピーチ・ジョン」が取り扱う「ラブサプリ」をめぐって、自社の通販サイトやTwitterなどに「こっそり飲ませる」ことを推奨する文章を記載。

    ネット上では「怖い」「同意もなく飲ませるのはダメ」「アレルギー持ちは命に関わる」と批判や疑問の声が殺到した。

    BuzzFeedの取材に対し、ピーチ・ジョンは「お客様にご不快な思いをおかけし、大変申し訳ございませんでした」と回答。該当の表現を削除し、今後の販売も見合わせるという。

    「こっそり色仕掛け」

    問題の商品名は「ラブポーション」。昨年11月7日から税別3000円で販売されていた。

    通販サイトでは「情熱的な感情を呼び起こす。男女兼用セクシー&ファン&ラブサプリ」「ロマンティックな二人のムードをサポートする」とあり、以下のように使用法を説明していた。

    そのままでも飲み物やお料理に混ぜてもOK。彼にこっそり食べさせたり、カップルで使ってもよし。

    Lesson1. こっそり飲ませる

    表向き恥ずかしいと思うなら、お料理やお菓子に混ぜてこっそり色仕掛け。気づく?気づかない?の駆け引きも楽しめそう。

    Lesson2. 一緒に飲む

    LOVEPOTIONと知って飲むことで、かえってロマンティック効果が高まる“プラセボ効果”を期待するのも手。恋や愛の面でのスパイスとして役立てて。

    レシピ動画も公開

    また、ピーチ・ジョンの公式Twitterでも

    飲み物や料理にこっそり混ぜるのがオススメ もうすぐクリスマス 「ラブサプリ」で勝負をかけてみてはいかがですか?》

    と、やはり「こっそり」混入することを勧めていた。

    料理や菓子に混ぜるための具体的な方法として、サイトにはサプリを使ったブラウニーやガパオライスのレシピも掲載。料理動画まで載せていた(9日午前11時現在、再生できなくなっている)。

    アレルギー対策と矛盾

    サプリの原材料は、ココア粉末やマカ粉末、ムクナ粉末など。

    こっそり混入することを指南する一方、サイトに掲げられた「摂取上のご注意」には

    ・薬を服用中あるいは通院中の方は、医師にご相談ください。

    ・原材料をご確認の上、食物アレルギーのある方は、ご使用をお控えください。

    ・妊娠中、授乳中の方、小児はご使用をお控えください。

    という記載もあり、その説明は一貫性を欠いていた。

    「怖いなと思った」

    ラブサプリの問題が表面化したのは、政治アイドルの町田彩夏さんによるTwitter投稿がきっかけだった。

    町田さんは1月8日夜、ピーチ・ジョンの公式LINEから届いたというラブサプリのお知らせの画像とともに、次にようにツイートした。

    《使用方法の1つに「こっそり飲ませる」とあってびっくり。「同意なく相手に摂取させ、気付くかどうかを楽しむ」ことを推奨する文章を見て、医薬品ではなくサプリメントだとしても、素直に怖いなと思った

    投稿は5900回以上リツイートされ、「体質によってはショック死の危険もある」「いくらパートナーでも同意なく飲ませるのはダメ」といった反響が寄せられた。

    下着を販売する「ピーチ・ジョン」公式LINEから、男女兼用ラブサプリのお知らせが来たんだけど、使用方法の1つに「こっそり飲ませる」とあってびっくり。「同意なく相手に摂取させ、気付くかどうかを楽しむ」ことを推奨する文章を見て、医薬品ではなくサプリメントだとしても、素直に怖いなと思った。

    「デートレイプドラッグを彷彿」

    町田さんは《このサプリの怖いところは、効用を信じた人がこの使い方を真に受けてしまい、同意なく相手に飲ませ、しばらく経ってから「そういう気持ちになっただろう」と言って、性的行為に及ぶ可能性があること。デートレイプドラッグを彷彿としてしまいました》とも投稿。

    同意のない性行為を誘発しかねないことに懸念を表明した。

    このサプリの怖いところは、効用を信じた人がこの使い方を真に受けてしまい、同意なく相手に飲ませ、しばらく経ってから「そういう気持ちになっただろう」と言って、性的行為に及ぶ可能性があること。デートレイプドラッグを彷彿としてしまいました。 https://t.co/oWOslKSVxB

    「デートレイプ・ドラッグ」「レイプ・ドラッグ」とは、性的暴行目的で意識を奪い、抵抗できない状態にするための睡眠薬などの薬物のこと。

    内閣府の特設ページではこんな被害事例を紹介している。

    カラオケボックスで、トイレに立った後、残っていた飲み物を飲んだら、意識がもうろうとし、気が付くと服を脱がされた状態で、ソファーの上に一人で取り残されていた。

    サークルの飲み会で、先輩からお酒をすすめられ、断れずに飲み続けていたら、身体がだるくなり、気が付くと複数の人に囲まれ、胸や下半身を触られていた。

    人からよく効く頭痛薬だとすすめられて飲んだら、気持ちが悪くなって、体が思うように動かなくなり、服を脱がされて複数人とセックスさせられた。またその様子を、動画に撮られた。

    こうした被害は、性別を問わず起こり得る。

    ピーチ・ジョンの「ラブサプリ」にどんな作用があるかは不明だが、人の飲み物に「こっそり混ぜる」という発想は、デートレイプ・ドラッグにも重なる。

    「お客様にご不快な思い」お詫び

    BuzzFeedの取材に対し、ピーチ・ジョンは該当表現を削除し、公式サイトでお詫びする考えを明らかにした。今後の販売も取りやめる方針だ。

    謝罪文の全文は以下の通り。

    健康食品「ラブポーション」の商品説明及び広告表現についてのお詫び

    この度、弊社の発売する健康食品「ラブポーション」の商品説明及び広告表現に不適切な表現がありました。

    お客様にご不快な思いをおかけし、大変申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げます。

    多くのお客様からのご意見を受け該当表現を削除いたしました。

    今回いただいたご意見を厳粛に受け止め、指導・管理体制を一層徹底し、再発防止に努めてまいる所存です。改めて、多くの方に不快な思いをさせてしまったことを、深くお詫び申し上けげます。

    UPDATE

    ピーチ・ジョンからの回答と謝罪文を追記しました。