外国人ジャーナリストが写した築地市場 そこに広がる独特な世界

    この風景は、どう変わっていくのか。

    移転問題で揺れる築地市場を写した、10枚の写真がある。

    これらの写真を撮ったのは、ピューリッツァー賞受賞経験もあるオーストラリア人フォトジャーナリスト、ダニエル・ベレヒューラック氏だ。

    外国人の視点から見る築地。そこには、また違った世界に足を踏み入れてしまったかのような、独特な景色が広がっている。

    築地市場は、1935(昭和10)年に開場した。もともと日本橋にあった魚河岸が関東大震災で焼失し、現在の場所に移転してきたのが、その始まりだ。

    以来81年間にわたって、東京の台所であり続けてきた。

    1日あたりの魚の取引量は1779トン(2013年)と、世界最大級だ。

    狭い場内には「ターレ」と呼ばれる一人乗り運搬車が走り回り、所狭しと、空き箱や生鮮食品が積まれている。

    ただ、施設の老朽化は進み、強度や衛生面でも不安があるなどの問題も抱えるようになった。

    だから、移転は決まった。予定されていた閉鎖を前に「世界一おおきな魚市場」を記録するため、この写真たちは撮影された。

    本当だったら、今年11月には閉じるはずだった。豊洲への移転は、盛土問題などで混迷を極めている。

    この風景は、これからいったいどう変わっていくのだろうか。その行方は、まだ定まっていない。