是枝裕和監督の『万引き家族』が、世界三大映画祭のひとつであるカンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドールを受賞した。
日本映画のパルムドール受賞は、1997年の『うなぎ』(今村昌平監督)以来21年ぶりの快挙だ。
是枝監督は受賞後、その喜びとともに、映画への「希望」や自身が描いてきた「なんとか社会で生きている人たちの痛み」について語ったという。
「映画を作り続けていく勇気をもらえます」
是枝監督がカンヌ国際映画祭に出品したのは、今回が7回目だ。
2004年の『誰も知らない』で柳楽優弥さんが最優秀男優賞を、2013年の『そして父になる』では審査員賞を受賞している。
日本時間5月20日に開かれた受賞式では、映画に対する「希望」をこう語ったという。
さすがに足が震えます。とてもこの場にいられることが幸せです。
そしてこの映画祭にいつも参加させて頂いて思いますが、映画を作り続けていく勇気をもらえます。
そして、対立している人と人、隔てられている世界を映画が繋ぐ力を持つのではないかと希望を感じます。
頂いたその勇気と希望をまずは一足先に日本にもどったスタッフとキャストに分かち合いたいです。
作品が選ばれたにも関わらずここに参加できなかった人たちとも分かち合いたいですし、これから映画を作りここを目指す若い映画の作り手たちとも分かち合いたいと思います。
ありがとうございます。
「なんとか社会で生きる人たちの傷を描いてきた」
これまでも、家族のあり方や、社会と人のつながりを、繊細なタッチで描いてきた是枝監督。
今回の『万引き家族』は、東京の下町に暮らしながら万引きで生計を立てる5人の生きようから、「つながり」や「絆」の意味を問いかけた。
受賞後の会見では、自身の作品のについて、こんなことも語っている。
「アウトサイドにこぼれないように、なんとか社会で生きている人たちを描いてきた。逆に、外に出られないことによって生まれる痛みみたいなものを、自分はずっと撮っているような気がするんですよね」
「今回もなんだか、決して彼らはヒーローではないし、かっこいい犯罪者でもないんですけれども、それでも父であり母であろうとするという物語にしたいな、と思いました」
『万引き家族』は6月8日に公開される。