テレビがなくてもNHKの受信料を払うの?「ネット同時配信」について聞いた

    テレビも、ワンセグ機能付き携帯電話がなくても…?

    政府が閣議決定した、NHKによる「ネット常時同時配信」を可能にする放送法改正案。今国会で成立すれば、2019年度中にもテレビ番組の配信を始める方針だ。

    果たして、テレビがない世帯にも「ネット受信料」が求められるようになるのか。NHKに聞いた。

    NHKは現在、放送法を根拠に、テレビを受信できる環境がある世帯は、受信契約と受信料の支払いの義務がある、としている。

    NHK広報担当者によると、受信機とはテレビだけではなく、「ワンセグ機能のある携帯電話・スマートホンやTVが視聴できるPC」も含まれるとしているという。

    受信料をめぐっては、最高裁が2017年12月に「テレビがあれば契約する義務がある」と判断。さらに18年8月には、ワンセグ機能付き携帯電話を持っているだけでも受信契約の必要性がある、とする高裁判決が出ている。

    一方で、テレビもない、ワンセグ機能付き携帯電話もないーーそんな世帯も増えている。ネット同時配信が始まった場合、一体どうなるのか。

    BuzzFeed Newsでは、同時配信のスケジュールや仕組みなどとともに、以下の点をNHKに質問した。

    • 法改正に伴い、受信料の体系や受信機の定義は変わるのか
    • 受信機を設置していない家庭への受信料支払いを求めていくことになるのか?もしくは、同時配信を見ることができないようにするなどの施策をとるのか?


    NHKの回答は…

    NHKの回答によると、「常時同時配信」は「視聴機会の拡大を図り、いつでも、どこでも必要なコンテンツを得られるよう、放送を補完するもの」として実施する方向性だという。

    あくまで「放送の補完」としての位置付けのため、受信契約をしている世帯の構成員は「追加負担なく利用できる」としている。

    2020年の東京オリンピック・パラリンピックで常時同時配信ができるよう、19年度中にサービスを開始する考えだ。

    配信を見るには利用登録が必要で、その登録について受信契約と照合をした結果、契約が確認できれば、契約を求める内容のメッセージなしで視聴することができるという。

    契約が確認できなかった場合は「メッセージ付き」の配信になるが、災害時などは誰でも「メッセージなし」で視聴できるようになるという。

    ネット受信料はどうなる?

    会長の諮問機関である「NHK受信料制度等検討委員会」は2017年の答申で、受信機のなく、同時配信のみを利用する世帯を対象とした「ネット受信料」に対し、以下のように「一定の合理性」があると指摘している。

    NHKが放送の世界で果たしている公共性を、インターネットを通じても発揮するためのサービスと考えられ、インフラの整備や国民の合意形成の環境が整うことを前提に、受信料型を目指すことに一定の合理性があると考えられる

    BuzzFeed Newsはこの答申についての見解も聞いたが、具体的な答えはなかった。そのうえで、NHKは回答の最後に「なお」として、こう記した。

    「放送法第64条に規定されているとおり、『協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない』とされています」