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自民・平沢議員「LGBTばかりになったら国はつぶれる」に批判の声相次ぐ

当事者や支援者らからは「多様性を排除する国の方が危うい」などという意見も。


自民党の平沢勝栄議員(東京17区)が「(LGBTの)人たちばっかりになったら国はつぶれちゃう」と発言し、批判を浴びている。

日本テレビの報道によると、発言は1月3日、山梨県で開かれた集会のあいさつで、少子化問題に言及するなかで飛び出したもの。

「LGBTで同性婚で男と男、女と女の結婚。これは批判したら変なことになるからいいんですよ。もちろんいいんですよ。ただ、この人たちばっかりになったら国はつぶれちゃうんですよ」

「同性婚パートナーシーップ証明書」などを出している東京の渋谷区や世田谷区にも触れ、「先進区だとか自慢しているが、私にはその考え方はよくわからない」と述べたという。

昨年には、同じ自民党の杉田水脈議員が雑誌「新潮45」に「(LGBTは)生産性がない」などと寄稿し、問題となっていたばかり。

自民党本部は当時、「個人的な意見とは言え、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現がある」「本人には今後、十分に注意するよう指導した」などとする見解を発表していた。

「多様性を排除する国のほうが危うい」

この発言をめぐり、当事者や支援者らから、様々な批判の声が上がっている。

自らレズビアンであることを公表している、立憲民主党の尾辻かな子議員は「多様性を排除する国の方が危うい」とコメント。

「同性婚を認めたら、LGBTばかりになるという主張のようですが、制度を作ることでその方の性的指向や性自認が変わるという不思議な説」としている。

同性婚を認めた国はLGBTばかりになり、国がつぶれたのでしょうか?オランダは2000年に初めて同性婚を認めました。カナダ、英、仏、米、独など同性婚が可能な24か国はつぶれるのでしょうか? 多様性を排除する国の方が危うい。 “LGBTばかりになったら国はつぶれる” https://t.co/GGM7MKc9cg

元タカラジェンヌでレズビアンを公表している「LGBTアクティビスト」の東小雪さんは、少子化とLGBTの権利を守ることが「全く別の問題」とし、こうもつぶやいた。

「どのような文化的背景、宗教の国にも性的マイノリティの人々は一定の数います。可視化が進んでも”LGBTばかりになる”ことはありえません」

少子化とLGBTの権利を守ることは全く別の問題。どのような文化的背景、宗教の国にも性的マイノリティの人々は一定の数います。可視化が進んでも”LGBTばかりになる”ことはありえません。 “LGBTばかりになったら国はつぶれる” #日テレNEWS24 https://t.co/3NIngloRQr

2018年にゲイであることをカミングアウトした東大名誉教授のロバート・キャンベルさんも、「少しは勉強してくださいよ」と呆れ顔だ。

平沢さん、少しは勉強してくださいよ。 https://t.co/QIMPVELvXR

一方、憲法学者の木村草太さんは、批判を受けた杉田水脈議員に対し、安倍晋三首相が「まだ若いですから」と述べたことに言及。

「こちらは、どうなるのだろう?」と指摘した。

杉田議員の時は、「若いから」と説明していたけれど、こちらは、どうなるのだろう? “LGBTばかりになったら国はつぶれる” #日テレNEWS24 #日テレ #ntv https://t.co/tpzFoyZGnC

過去には別の議員から…

柴山昌彦文部科学相は2015年3月に「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)に出演。「同性婚を制度化したときに、少子化に拍車がかかる」などと発言していた。

文科相就任後の昨年には国会で釈明に追いやられ、「同性婚を制度化した国の出生率は上昇も低下もあり、データをしっかり確認しなかった」と述べている。

平沢議員も、同様の文脈で話をしているようにも捉えられる。ただ、柴山文科相が自ら示した通り、少子化と同性婚はそもそも別の問題だ。

電通が成人7万人を対象に実施した調査(2015年)によると、性的マイノリティは7.6%。連合が民間企業などの社員1000人に実施した調査(2016年)でも8%だった。つまり、およそ13人に1人だ。

「生産性がない」や「国がつぶれる」などという言葉はどのような意図であれ、LGBTへの理解の不足を示すものであり、さらに多くの人たちを傷つけるものなのだ。

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