ゴーン被告の弁護人がマスコミに訴えた「当たり前のこと」

    変装は「膨大な数のカメラやバイクやハイヤーやヘリコプター」の追跡から避けるためだった、という。

    東京拘置所から保釈された、特別背任などの罪で起訴されている日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)の「変装」。

    様々な憶測が広がっていたが、弁護団の高野隆弁護士がブログで「『変装劇』はすべて私が計画して実行したものです」とし、「失敗」を謝罪した。

    ゴーン被告を巡っては、弁護側が先週、3回目となる保釈を申請し、認められた。検察側は準抗告したが、東京地裁は棄却し、勾留108日で保釈された。保釈保証金は10億円だった。

    3月6日には作業着姿に身を包み、拘置所の玄関につけられていたスズキの軽自動車に乗り込んで、東京拘置所を後にした。

    作業着は埼玉県の建築会社のもの、帽子は同じく埼玉県の鉄道関連企業のものだった。

    この「変装」には多くのメディアが注目。ネット上でも様々な憶測が飛び交っていた。

    高野弁護士はこれまで、ゴーン氏の長期にわたる未決勾留と保釈の却下について「人質司法」と批判していた。

    8日未明のブログでも、「公正な裁判」のためとして、こう記している。

    依頼人を理不尽な身柄拘束から解放し、正常な社会生活に復帰させて、来るべき刑事裁判の準備に主体的に取り組む機会を与えることは、公正な裁判の実現にとって不可欠なこと

    そのうえで、「弁護人の最初の課題は、釈放後速やかにかつ安全に依頼人を『制限住居』に届けること」と言及。

    ゴーン被告に関しても、「膨大な数のカメラやバイクやハイヤーやヘリコプター」からの追跡などの事態は「避けなければなりません」とした。

    ゴーン氏が素顔をさらして住居に向かったとすれば、間違いなく膨大な数のカメラがバイクやハイヤーやヘリコプターに乗って彼を追いかけたでしょう。彼の小さな住居は全世界に知れ渡ります。生活を取り戻すどころか、健康すら損なわれてしまうでしょう。彼だけではありません。彼の家族、そして近隣住民の生活すら脅かされてしまいます。そのような事態は絶対に避けなければなりません。

    そうして「私の頭に閃いたのが昨日の方法」だったという。しかし、結果としてそれは「失敗」だったとも記した。

    ゴーン被告は家族と「奇跡的」に面会ができたが、高野弁護士は「私の未熟な計画のために彼が生涯をかけて築き上げてきた名声に泥を塗る結果」となったとし、謝罪。以下のようにも記した。

    今回私の計画に進んで協力してくれた私の友人たちに大きな迷惑をかけてしまいました。私はたくさんの人に有形無形の損害を与えてしまいました。とても申し訳なく思っています。

    そのうえで、「最後にマスコミの皆さんにお願いします」として、こうも呼びかけた。

    どんな著名人にも身近な人と心安らぐ場所が必要です。心おきなく疲れをいやす場所が必要です。どのような庶民にも生活の糧を得るために安全に働く権利があります。この当たり前のことをご理解ください。