環境省が7月22日、「【土用のウナギはご予約を】」と食品ロスにつながらないよう、食べる際には予約して注文するよう呼びかけたTwitterの投稿を削除していたことが、分かった。
同省の広報担当者は、BuzzFeed Newsの取材に「ニホンウナギは絶滅危惧種なのに食べることを推奨するのか」などの批判が相次ぎ、削除したと明かした。
ニホンウナギは、環境省が2013年、国際自然保護連合(IUCN)も2014年に「絶滅危惧IB類」としてレッドリストに掲載。
この区分は、『絶滅危惧ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種』という意味だ。
近年、ウナギの国内供給量や輸入量は減少傾向で、ウナギの稚魚であるシラスウナギの採捕量は昭和50年(1975年)代後半以降、低水準、かつ減少基調にある。
スーパーやウナギ屋などでは、市場での取引価格が高騰している状況も見られるが、毎年、「土用の丑の日」にはウナギを買い求める人々で賑わう。
消費者庁によると、限りある資源を枯渇させず、日本の食文化が次世代へと継承されるよう、食品関連事業者でさまざまな取り組みがなされている。
その一つが、「食品ロス(売れ残り廃棄)の削減」だ。
そうした中、環境省が上記のツイートをした。7月27日が土用の丑の日と紹介し、「ウナギの準備を考えている方もいるのでは?」としたうえで、こう書いた。
食品ロスにならないように大事にいただきましょう。食べる方はできるだけ予約して、季節の行事を楽しみましょう!
そして、末尾には食品ロスに関して啓発するサイトのURLを載せた。
「食品ロスを削減するために、こういったツイートをしました。しかし、たくさんのコメントが寄せられ、真意が伝わっていないと判断したため、削除をしました」
そうBuzzFeed Newsに話すのは、広報室の担当者だ。
環境省の担当者の真意とは
広報室の担当者が22日午後8時に注意喚起として上記のツイートをした。
しかし、その後に「ニホンウナギは、絶滅危惧種なのに食べることを推奨するのはどうなのか」といったコメントが多く寄せられ、同日午後11時前に削除したという。
では、ツイートした真意とは何か。
「あくまで食品ロスにつながらないように、食べるのであれば、予約をしていただきたい、とツイートしたところです」
「こちらとしては、積極的に食べるようには推奨していません。食べる、食べないことに何か言える立場でもありませんが、食べることを推奨するといった誤解を与えてしまったため、削除しました」
「食べないように」ではない
では、「絶滅危惧IB類」としてレッドリストに掲載されているニホンウナギを食べることはどうなのか。
環境省・野生生物課によれば、河川や沿岸域の生息環境の変化など個体数の減少の要因は複数考えられるが、明確な原因が特定されていない、という。
そして、資源として管理し、保全を進めていくことが大切だとしたうえで、同課の担当者はこう話した。
「レッドリストへの掲載は『食べないように』と示すものではありません。国としても『食べないように』とは呼びかけていない段階です」