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安倍首相の「辺野古移設」つづける考えに、玉城デニー知事と大学院生が会見で抗議

玉城知事は、安倍晋三首相と在日米国大使館でジョセフ・ヤング首席公使と面談。県民投票の結果を通知した。

沖縄県における米軍普天間基地の名護市辺野古移設に伴う埋め立ての是非を問う県民投票。玉城デニー知事は3月1日、東京で首相官邸と米国大使館をそれぞれ訪問し、「反対」票が7割を超えたという結果を通知した。

玉城知事は安倍晋三首相と米国大使館幹部との面談後、千代田区の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。署名活動などを通して県民投票の実現にこぎつけた「『辺野古』県民投票の会」代表で、大学院生の元山仁士郎さん(27)も同席した。

そして、玉城知事は「これまでの選挙や、県民投票などで示された反対の民意を全く無視しているかのようだ」と国の姿勢に苦言を呈した。

県民投票は投票率が52.48%で、投票総数の71%にあたる43万人が「反対」票を投じた。

辺野古の埋め立てには反対するという沖縄県の民意が明確になったかたちだが、日本政府に対する法的な拘束力はない。

このため政府は現在も工事を進めている。

玉城知事は、埋め立て「反対」が民意だとの結果を携え、首相官邸で安倍首相と会談。また、それに先立って在日米国大使館でもジョセフ・ヤング首席公使と面談した。

辺野古の埋め立て工事の即時中止や、普天間飛行場の即時運用停止を求めた。

さらに、県と日米両政府で構成する、沖縄の基地負担軽減についての協議機関を設けるよう申し入れた。

会談で、安倍首相は「普天間の危険な状況を置き去りにするわけにはいかない」と玉城知事に述べ、現在も継続中の工事を進める方針を改めて示した。

そして県民投票の結果については「真摯に受け止めながら、一つ一つ負担軽減に向けて結果を出していきたい」と述べるにとどめたという。

また、会談のなかで、「日米特別行動委員会(SACO、サコ)」に代わる、県と日米両政府からなる「SACWO(サコワ、Special Action Committee With Okinawa)」を提言した。しかし、前向きな返答は得られなかったという。

両政府への面談後に玉城知事は、会見で県民投票の意義を次のように語った。

「辺野古埋め立てに争点を絞った県民投票により、反対、すなわち辺野古移設中止・断念を求める民意が初めて示された、極めて重要な意義のある結果となった」

さらに、「この結果はなによりも重く、受け止めなければならない。いま、日本の民主主義が問われている」と指摘。

「県民は、より早く普天間基地問題を解決するために、辺野古移設反対の意思を示したものと考えます。政府に対して改めて辺野古移設断念を強く求めます」

県民投票の実現につなげた元山さんの抗議

一方の元山さんは英語で話し始めると「国が沖縄の民意を踏み潰すことがあってはならない」と日本政府に抗議した。

元山さんは、安保法制に反対した「シールズ琉球」の元メンバー。

「対話のため、何か新しいことができないか」。そう考え、東京の大学院を休学。沖縄で県民投票の会を立ち上げ、仲間とともに県民投票実施請求のために必要な署名集めに奔走。9万筆以上を集め、実現につなげた。

反対多数を示した県民投票の結果は「非常に重い意味合いを持った民意の表れ。県民投票は民主主義の一歩を刻んだ意義のあるものだ」と手応えを語る。

そのうえで「民意を重く受け止め、民主主義の基本に立ち返って、辺野古移設を中止、断念すべきだと思います」と日本政府に対して訴えた。

「政府はただちに辺野古移設を中止、断念し、普天間基地の危険性除去に向けた英断を願います。次は日本全体が、世界が動く番だと思います。力を貸してください」

首相官邸前ではこの日、埋め立てを批判する抗議集会が予定される。元山さんも参加する方針だ。