高齢ドライバーの相次ぐ事故受け、昨年と比べ26倍売れているものがある

    この安全装置は、アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防止するという。

    全国で高齢ドライバーによる重大な交通事故が相次いでいる。

    そんな中、大手カー用品販売店が売っているアクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防止する安全装置の売れ行きが大きく伸びている。

    装置は「ペダルの見張り番」。オートバックスが専売している商品だ。

    車に装置を取り付け後、後退時を含めてアクセルペダルを強く踏み込むと、センサーが異常を検知し、急発進を防止するためにゆっくり動くようになる。それと同時にアラートも同時に鳴る仕組みだ。

    装置は、停止中や時速10キロ未満の低速時に作動し、アクセルペダルとブレーキペダルが一緒に踏まれた場合にはブレーキ動作が優先されるという。

    前年同月比で約26倍

    4月に東京・池袋で乗用車が暴走し母子2人が死亡した事故が発生した。

    80代の男性が運転する乗用車が暴走し、赤信号の交差点に進入。通行人を次々とはね、30代の女性と3歳の娘が死亡し、8人が重軽傷を負った。男性と同乗していた妻もけがをした。

    それ以降も高齢ドライバーによる事故は大きく報道され、装置を購入する人が増えているという。

    全国にオートバックスを展開するオートバックスセブンによると、2019年5月の販売実績は前年同月比で約26倍で、今年4月比でも約14倍だったという。

    同社IR・広報部の担当者は「ドライバーによる安全意識の高まりを実感しています」とBuzzFeed Newsに語る。

    そもそも装置はコンスタントに売れる商品ではない。これまでも、重大事故の報道などを受けたドライバーの意識の変化と比例して、買い求める人が増えていたという。

    ただ、来店客に対して「積極的に勧めるわけにもいかない」とも担当者は話す。どうしてか。

    「ドライバーの不安を煽るような形になるので、売るのが難しいんです。そのため、不安だというお話があれば、おすすめしています」

    装置は全国のオートバックスの店舗で購入でき、取り付け工賃込みで税抜き3万円。

    アクセルペダルを強く踏み込む必要がある坂道や段差などでの運転を考慮して、装置を手動で一時オフにする機能などがある「ペダルの見張り番Ⅱ」も売られており、税抜き4万円だ。

    売れ行きは伸びているが...

    車を運転する以上、事故は誰にでも起こりうる。高齢ドライバーだけでなく、運転に不慣れな人など年齢や運転経験を問わない。

    装置の売れ行きは伸びているものの、販売数は累計で約6000台で決して多いとは言えない。担当者はこう思いを語った。

    「この商品への注目度は薄れていましたが、また注目していただけるようになりました」

    「私たちも事故が少しでも減ればと思っています。装置は後付けできますので、お買い求めいただければと考えております」

    動画による「ペダルの見張り番」の説明はこちら

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    オートバックスセブン