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センター試験の日本史で「平成」の出来事を選ぶ問題 どんな内容?

1990年代の日米の軍事・防衛関係についての問題でした。

2019年、平成最後のセンター試験。初日の1月19日に実施された「日本史」では、「平成」の間に起こった出来事を問う問題が登場した。

問題は日本史A・Bに共通した問題。「1990年代の日米の軍事・防衛関係について正しいもの」を選ぶ問題だった。

「1990年代の日米の軍事・防衛に関して述べた次の文a〜dについて、正しいものの組合せを、下の1〜4のうちから一つ選べ」


a 湾岸戦争の際、日本は多国籍軍への資金援助要請を拒絶した。


b 湾岸戦争後、国会でのPKO協力法(国連平和維持活動協力法)が成立した。


c 日米協力のための新ガイドライン関連法が成立した。


d 在日米軍基地に反対する運動が広がり、砂川事件が起こった。


1 a・c   2 a・d   3 b・c   4 b・d

つまり、1990年代の出来事の説明として「正しいものの組合せ」を選べば正解となる。

正解は?

選択肢を検討してみよう。

・「a」について。

1990年、サダム・フセイン率いるイラク軍が突如クウェートに侵攻。これに対し、アメリカ軍を中心とする多国籍軍が出動して起こったのが湾岸戦争(1991年)だった。

このとき日本は、多国籍軍に1兆円を超える資金を提供した。よって、これは誤文となる。

・「b」について。日本は湾岸戦争で多額の資金援助をしたが、国際的に評価されなかった。

これを受けて海部俊樹内閣が立案し、1992年に「国連平和維持活動(PKO)協力法」が成立した。

その後、自衛隊が難民支援・停戦監視の目的で、カンボジア・ルワンダ・東ティモールなどに派遣された。よってこれは正文となる。

・「c」について。日米両政府は1997年に「新たな日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)を策定。このなかで「周辺事態」(日本周辺海域で日本の平和と安全に重大な影響を与える場合)での、日米協力のあり方を具体的に定めた。

この「新ガイドライン」の実効性を確保するため、1999年に成立したのが周辺事態法などの「新ガイドライン関連法」だった。よってこれは正文となる。

・「d」について。「砂川事件」は米軍立川基地に基地拡張反対派が突入した事件。事件が起こったのは1957年。問われているのは「1990年代」のことなので、これは誤文となる。

以上の理由から、この問題の正解は「3」となる。

日本史の問題として1990年代の出来事が出題されたことで、「平成」が歴史の一部となりつつあることを実感させる。

と同時に、「平成」を通して日本とアメリカが軍事的結び付きを強めてきたことが伺える。そのことを再確認させる問題だった。