将棋の第31期「竜王戦」七番勝負の第6局1日目が12月12日、鹿児島県指宿市「指宿白水館」で始まった。
これまでの5対局では、羽生善治竜王が挑戦者・広瀬章人八段に対し、3勝2敗でリード。
羽生竜王が勝利すれば、竜王位防衛とともに前人未到の「通算タイトル100期」を達成する。
戦型は「横歩取り」に
午前9時、先手の広瀬八段が飛車先の歩を突く「▲2六歩」と着手し、対局が始まった。
後手の羽生竜王も「△8四歩」と同じく飛車先の歩を突いた。互いに飛車の動ける道を確保し、相手陣の手前まで進める。
対局開始から約30分後、広瀬八段が「▲3四歩」と飛車の横にある歩を取った。戦型は「横歩取り」となった。
羽生竜王が後手番で横歩取りを指すのは、5月の「名人戦」第4局以来。このときは先手番の佐藤名人が勝利している
持ち時間は各8時間で対局は2日制。決着は13日夜となる見通しだ。
タイトル100期をかけた大一番、昼食メニューは?
午後12時26分、手番だった羽生竜王が定刻より4分早く席を立ち、両者は昼食休憩に入った。
タイトル100期の大記録がかかった羽生竜王と、後がない中で起死回生を狙う広瀬八段。午後の対局に備えて、どんな「勝負メシ」を選んだのか。
羽生竜王は、昼食に「黒豚カツカレー」を注文した。
「黒豚カツカレー」は羽生竜王にとって縁起の良いメニューだ。昨年の竜王戦第5局1日目でも「黒豚カツカレー」をオーダー。渡辺明・前竜王を破り、前人未到の「永世七冠」を達成した。
これに対し、広瀬八段は指宿産のうなぎを使った「うな重」をチョイス。長丁場の竜王戦を戦い抜くため、こちらもスタミナを意識したようだ。
棋士の昼食で「うな重」は鉄板メニューの一つ。昨年1月に引退した「ひふみん」こと加藤一二三九段の好物として知られている。
今期の竜王戦は、平成最後の竜王戦。
羽生竜王が初めて竜王位を獲得したのは19歳のとき、平成元年(1989年)のことだった。
デビューわずか4年での快挙で、かつ当時の最年少タイトル獲得記録だった。
羽生竜王は1991年から現在に至るまで、常に一つ以上のタイトルを保持し続けている。生涯に一度もタイトルを獲得できなかった棋士が多い中、類を見ない存在だ。
平成という時代を通じて、将棋界に君臨し続けてきたのが「羽生善治」という棋士だった。
平成を代表する偉大なる棋士が、平成最後の竜王戦を勝利で飾れるか。注目が集まる。