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重巡洋艦「古鷹」ソロモン諸島沖の海底で発見 太平洋戦争で沈没

太平洋戦争中、南太平洋で沈んだ旧日本海軍の重巡洋艦「古鷹」が、ソロモン諸島・サボ島沖合の海底1400メートルで見つかった。

太平洋戦争中、南太平洋で沈んだ旧日本海軍の重巡洋艦「古鷹」が、ソロモン諸島・サボ島沖合の海底1400メートルで見つかったと、米マイクロソフト共同創業者で昨年死去したポール・アレン氏が設立した財団の調査チームが5月5日に発表した。

同調査チームは2月25日に古鷹を発見したという。

この調査チームはこれまでにも戦艦「武蔵」、駆逐艦「島風」、軽巡洋艦「神通」、戦艦「比叡」など数々の沈んだ軍艦を発見している。



重巡洋艦「古鷹」とは

古鷹は1922年12月、加古型2番艦として三菱造船長崎造船所(現三菱重工長崎造船所)で起工。加古より早い1926年3月に竣工したことから、この艦種は後に「古鷹」がネームシップとなった。

太平洋戦争では第六戦隊に所属し、1942年8月の第一次ソロモン海戦に参加。戦果をあげた一方、姉妹艦の加古を雷撃により失った。

同年10月、ガダルカナル島をめぐる攻防戦で補給や、アメリカ軍が占領した同島の飛行場への艦砲射撃などの任務に従事していた中、サボ島沖海戦が発生。夜間戦闘だったため、日米両軍とも敵味方の識別で混乱したという。

日本海軍には「伝統の夜戦」という言葉があるほど。見張りの兵員には視力の良いものが選ばれ、夜目が効いた。第一次ソロモン海戦でも優位に立ち、夜間戦闘に絶対の自信を持っていた。

ところが、このサボ島沖海戦では、日本側の夜戦優位が失われることになる。

防衛研修所戦史室 (現、防衛省防衛研究所戦史部)が編纂した「戦史叢書」によると、この海戦でアメリカ艦隊はレーダーを使用し、日本艦隊の接近を察知。敵艦隊の頭をおさえる、いわゆる「丁字戦法」を採用した。

アメリカ艦隊は、縦に並んだ日本艦隊の旗艦、重巡洋艦「青葉」を集中攻撃。この時「青葉」が退避すると、今度は後続の古鷹が集中砲火を浴びて、撃沈された。

「戦史叢書」はサボ島沖海戦について、こう総括している。

この海戦は、誤判断により奇襲を受けて不利な戦闘となったもので、レーダー活用により夜戦における日本海軍の優位を失わせた最初の戦闘であった

日本側は古鷹のほか、駆逐艦「吹雪」も撃沈され、旗艦青葉も大破。第六戦隊司令官の五藤存知少将が戦死した。