ご結婚おめでとうございます、と伝えたら、「へへ、人妻でーす」とにっこりしてくれました。
突然の結婚で日本中を驚かせた蒼井優さんと、インスタフォロワー10万人を超え、独自のファッションやライフスタイルに女性ファンが多い菊池亜希子さん。
お互い女優やモデルとして忙しい日々を過ごしながら、プライベートでも仲良しの2人の共通点は……アイドル「アンジュルム」が大好きなこと!(結婚会見でも「アンジュルム婚」なんて言われていましたね)
そんな2人がW編集長を務めたアーティストブック「アンジュルムック」が5月末に発売しました。
W編集長と言っても「ちょっと企画を考えました」くらいの温度感だと思っていたら(ごめんなさい!)、公式Instagramを覗くとガッツリ本気で関わっている様子がビシバシ伝わってきます。メンバーへの愛、雑誌への愛がすごいです……!
2人をここまで動かすアンジュルムの魅力って?
人生、そして芸能界の先輩として少女たちに伝えたかったことは。
取材日は、卒業公演5日前。現リーダー和田彩花さんの卒業を間近に控え心が乱れ気味なW編集長に、今のアンジュルムへの愛をたっぷり語っていただきました。
――3刷(取材後、4刷が決定)おめでとうございます!いよいよ和田彩花さんの卒業が間近ですが……。
蒼井優:あ〜〜考えたくない〜〜!
菊池亜希子:ほんとに! 5月に出たアルバム「輪廻転生」聞いているだけで泣いちゃうもん。
「この曲、武道館(和田さん卒業公演の会場)でやるとしたらどんな感じかな?」って勝手に脳内再生しちゃう……。
蒼井:わかる!! 和田さんは、ファンに対して卒業発表から1年間も心の準備をする時間をくれたのに、全っ然できてない。
菊池:これまでもたくさんのアイドルの卒業を見送ってきたけど、今回はお仕事でご一緒したからさらに思いがね。
……武道館が終わったあと、私たち生きてるかな? 不安だよ。
蒼井:まったく想像つかないね。というわけで、今すごくナイーブな時期なんです(笑)。
――今回、W編集長ということですが、すべての企画をおふたりでゼロから考えられたんでしょうか。
菊池:そうです! 企画を立てて、台割を決めて、カメラマンさんやスタイリストさんにお願いして、衣装を調達して、きゅうりを切って。
――きゅうり?
菊池:太田遥香さんのソロページの小道具のきゅうり、(蒼井)優ちゃんが全部切ってるんです。
蒼井:「きゅうりってどう切ってどう並べたら一番かわいいんだ?」って、夜明けまで自宅の台所で格闘してました。
菊池:2人で深夜1時のスーパーに買いに行ってね。「なんかちょっと曲がり方がイメージと違う」「もっとかわいいきゅうりない!?」とか言い合いながら……。
――きゅうりのエピソードだけで熱量が伝わってきますね……!
――企画の中で、特にやりたかったものはありますか?
蒼井:卒業を控えた和田さんとメンバー1人ずつの対談「あやちょの部屋」ですね。絶対やりたいなと最初から思っていました。
アンジュルムって「みんなでわちゃわちゃ」なイメージがありますが、だからこそ1対1で向き合うことで生まれるものがあると思ったんです。
言葉って、ずっと心の中に残っていくものじゃないですか。
自分がもしメンバーだったら、今、和田さんからもらう言葉ってすごく大事だし、自分がもし和田さんだったら、今のメンバーの思いをちゃんと聞くことで感じる何かがあると思う。
お互いの未来に残る言葉を交換してほしいなって思ったんです。
菊池:撮影の合間に1対1で、30分ずつ話してもらいました。
11人のメンバーと、計6時間以上喋った和田さんは一番大変だったはずなんですけど、喜んでくださってうれしかったです。
――軽いおしゃべりから人生観につながる深い話まで、それぞれの色が出ていて、メンバーのことをあまり知らない私でも感じ入ってしまいました。これだけで関係性が伝わってきますね。
菊池:本当にそうですよね! ファンとして見ている一面だけでなく、メンバー同士の関係がより立体的に見えてきて。読む度に泣いてます。
蒼井:本当にお互いがお互いを輝かせあってるんだな〜ってじんときちゃう。もう箱推しになっちゃいますよね! みんな大好き!
菊池:話し終わって戻ってくるメンバー、みんないい顔してたよね。目を真っ赤にしてる子もいて……。
少しでも多くファンの方と共有したくて、ものすごく細かい字で詰め込めるだけ詰め込みました。ここだけで5万字近くあります。
――みんなでお泊り、がコンセプトの「1泊2日の旅じゅるむ」も本当によいですね。ファンの夢をかなえてくださっている……!
蒼井:一緒に行かせていただいたんですけど、私、途中意識が飛んでしまって。
――え!? 蒼井さん、倒れたんですか?
蒼井:あ、違います、撮影準備が忙しすぎて全然寝てなかったんです。
出発直前まで衣装の調整をしていて、眠さ限界で一瞬意識が。本当に頑張った……。
菊池:一度決めていた衣装があったんですが、微妙にピンとこなくて。
川島小鳥さんに撮っていただくことは決まっていたので、「小鳥さんの写真で女の子が一番輝く衣装ってなんだろう?」をもう1度ゼロから考え直したんです。
蒼井:小鳥さんの写真集、何回も何回も見てね。ピンクと赤とエメラルドグリーンが抜群にきれいだ、その色をきちんと入れよう、とギリギリで方針を変えて。
古着屋に2人で飛び込んで「衣装貸してください!」ってお願いしたりしました。
――そんなところまで! もう完全にスタッフさんですね。
蒼井:それは本当、そうです、全ページそう(笑)。
スタイリストの山口香穂さんとうちらで集英社に缶詰になって、私物も山ほど持ち込んで必死で決めました。それだけ苦労したかいあってすごくいいページになったなと思います。
船木(結)さんのカラフルなスカート、イメージに合うものが最後の最後に見つかってうれしかった! 最後まで粘ってよかった〜!
菊池:最後は衣装部屋が大変なことになってたよね。
このコーナーは特に、私たちの私物も多く混ざっています。靴は優ちゃんのものが多いよね。クレジットに書いてないものは全部「編集長私物」です。
――パジャマになってからはメンバーだけで、お互いに「写ルンです」で撮りあうのも素敵でした。修学旅行みたいでかわいい……。
この日の夜は、写ルンですと、メイキング用ムービーカメラをメンバーにお渡しし、スタッフ禁制、本当に12人だけで過ごしていただきました。翌日の撮影中、昨日は三点倒立して楽しかったという声が! アンジュルム独自のパジャマパーティーの様子も本誌でお楽しみください!!!
蒼井:どれだけきれいに映るかわからず賭けだったのですが、メンバー同士だから撮れる写真ばかりですごくよかった! 誌面には限りがあるので、泣く泣く厳選しました……。
菊池:載せられなかったものは、インスタに!私たちだけで留めておくのはもったいなさすぎて。
蒼井:そう、「この尊さは伝えなきゃ……」みたいな使命感がね。自分がファンだったらオフショット絶対見たいし。
室田(瑞希)さんの躍動感あふれる写真、好きだなぁ〜。なんか元気出る。
菊池:私はりなぷ〜(勝田里奈)の同級生になって友達になりた〜い、って思いながら見てる(笑)。
クールなパフォーマンスからは想像もつかない人懐っこい笑顔に、我々は終始やられっぱなし!こんなん、好きになるに決まってるやん!!(公式インスタより)
蒼井:え、それは女子としてだよね? ……私は同級生男子として勝田さんに恋したい!
菊池:あ〜いいねいいね。1個下の後輩とかもよくない?
蒼井:いい〜! 学校の廊下とかで勝田先輩が近くを通った時に「え、いい匂いする……」ってドキドキしたい。
菊池:……すみません、いつもこんな会話をしています!
――(笑)。そういえば、公式インスタの長文コメントでもたまに妄想が爆発していますね。
はぁ...中西さんの無自覚な色気。皆さんわかりますか?(中略)嗚呼、夢の中だけでいいから、毎日中西さんと結婚していたい...(公式インスタより)
菊池:本の中では、私たちの気配を徹底的に消して、発言を一切入れないことにこだわったので、インスタで語っています。どっちが書いているか予想している方もいるんですが、結構逆!
蒼井:妄想は、あっこちゃん(菊池)の方が入りがちだよね。最初は数行で紹介していくつもりだったのに、愛があふれすぎてつい長文になっている……。
――おふたりの愛を感じまくって楽しいです。もし「アンジュルムック」第2弾を作るならやりたいことはありますか?
蒼井:12人でやりたいことは全部詰め込んだつもりです。強いて言うならなんだろうな〜、ムービーかな?「アンジュルムービー」?
菊池:特別版の特典映像、すごくいいよね〜! 早く皆さんに見てほしい……。
やっぱりステージでパフォーマンスする人たちだから、動いてる姿が本当に魅力的なんです!
――蒼井さんがこの本のコンセプトとして「少女を消費しない」と言っていたのが印象的だったのですが、もう少し詳しくお聞きしてもいいですか?
蒼井:まず大前提として、作品を見た人がどう受け取るかは自由ですし、それがエンターテインメントだと思っています。
だからこそ、現場で直接向き合う大人たちの意識ってすごく大事だと思うんです。彼女たちに「この目の前にいる人たちに消費されている」って思われたら終わり。
特に私たちは、この企画でだけ関わる外部の大人なので、「彼女たちの心を折らない」「未来に一瞬でも影を落とさない」というのは最低限の礼儀としてすごく意識しました。
――それは、具体的には?
蒼井:自分も経験がありますが、若いうちは周りの「こういう姿を見せてほしい」という期待に全力で応えてしまうんですよね。
私はそのモヤモヤをケアしてくれる大人に出会えましたが、期待に応えすぎて潰れてきた子たちもたくさん見てきて。
単純に「肌を露出させない」とか「水着を着せない」とか、そういうことじゃないんです。「消費」っていうのは。
菊池:私も優ちゃんも10代から仕事をしてきて、お仕事をいただけるのはうれしいんだけど、どこかで「使われている」感覚というか「ああ、そんな風に思われてるんだ」と気持ちがしぼんでしまう瞬間が正直あったんです。そんな思いはさせたくないな、と。
こちらの意図を押し付けすぎない、1人の人間として尊重する、という感じでしょうか。
事前に制作側ではっきりイメージを決めていたとしても、現場で本人と話して意思を聞いた上で、よりよい方に広がっていけばそれがベスト。
もちろん、与えられた役割をやってみることで広がる表現の幅もありますから、そこはバランスですけどね。
蒼井:何かに当てはめない、決めつけない。その人に合うものを一生懸命考えて提示する。そんな意味合いでした。
――なるほど。肌を出す出さないのレベルではなく。
蒼井:私、水着反対派じゃないんで。「少女が傷つく」ってそのレベルじゃないんですよ。もっと複雑だから。
菊池:そうそう、女の子が引っかかるポイントは布の分量だけじゃない。服を着せればいいって問題じゃない。肌を露出することであらわれる10代の輝きもあるし、足の綺麗さを武器にしている子は美しく見せていってほしいし。
蒼井:1人ずつにしっかり向き合って、「その子史上、一番かわいい写真を撮りに行く」と思って挑みました。本人たちも知らない彼女たちに出会ってもらいたかった。
普段の仕事でも、これだけ情熱とプライド、恐れと愛を持って自分を追い込めるか、すごく考えちゃいました。それくらい魂込めました。彼女たちの未来に何かつながったらうれしいな。
<後編では、ファンの皆さんから寄せられた質問にお答えします!>