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減点された女子のための"大学"ができた。創設したアーティストの思い

ニューヨークで日本のジェンダー・バイアスはどう受け止められたのか。

2018年8月、東京医科大学が、女子の受験生の得点を一律に減点し、合格者数を抑えていたと報じられた。この時、憤りのツイートをしたのが、アーティストのスプツニ子!さんだ。

「どんだけ無理ゲー強いられるんだろう」

信じられない・・・ 自分の育った場所が、まだ本当に、こんな場所なんだってこと、悲しくなる。女の子たちの夢を応援したいと思います。 東京医大、女子受験生を一律減点…合格者数抑制 : 読売新聞 https://t.co/P5Um2Xsxle

さっきのニュースは応えて、勉強を頑張ってる女子学生たちのことを思うと、ちょっと涙が出てきた。 わたし、いったいどんな社会にいるんだろう・・・ 女性の人生を、なんだと思ってるんだろう。

「女の子は勉強しないほうがいい」という社会的圧力を乗り越え勉強しても大学入試では減点され、社会に出てからも男性中心の職場とセクハラ・マタハラ・ジェンダーバイアス、家事育児を手伝う時間が圧倒的に少ない日本人男性達が待ち構え・・・どんだけ無理ゲー強いられるんだろう、日本の女性

男性が生理を疑似体験する「生理マシーン」など、ジェンダーをテーマに問題提起する写真や映像作品を制作しているスプツニ子!さん。

2018年8月、BuzzFeed Newsに、「仕組みとして女子が排除されているという事実に信じられない思いで、強い憤りを感じます。女性の夢と尊厳が当たり前のように軽んじられる日本はもう変えましょう」と語っていた。

このニュースをきっかけに考えたアートが「排除された女の子たちのための架空の大学」。「美容や医療から考える生命」を題材に作品を展開するアーティストの西澤知美さんとコラボし、この架空の大学の総長と理事に就任した。

架空の大学名は、作品タイトルでもある。"Tokyo Medical University for Rejected Women"。いわば「東京減点女子医大」だ。

どんな作品なのか

"Tokyo Medical University for Rejected Women"には、日本の医療界から排除された女性たちが集まっているという設定だ。

彼女たちは「frida」という医療手術支援ロボットを同時に操作し、「エリート男性医師」を改造し、作り上げる。 改造された男性医師は、ドローンで世界中の病院に出荷されるーー。

ドローンで出荷されるエリート医師

彼女たちはこのために能力を発揮し、社会に貢献する。皮肉と風刺を込めたアートだ。

2月8日、ニューヨークのギャラリーで作品の展示が始まった。カタログ(入学パンフレット)はあっという間になくなったという。

オープニングはとても盛況で、100部以上用意した大学入学パンフレットも一気になくなりました😉 時差ボケで夜中に目が覚めるんだけど、もはやこのまま直さずにアジアに帰りたい🇺🇸🇯🇵✈️ 夜中のマンハッタン散歩しようかな、、、、

排除された女子学生を"募集"

「入学案内」では、このように女子学生を"募集"している。

「医療界での系統的な女性差別によって、あなたは排除されたにも関わらず、医療に関わり続けると決心してくれたことをうれしく思います」(スプツニ子!総長)

「非常に知的で才能のある女子学生は、多くの医師を凌駕するために必要なスキルを、男性医師に注ぎ込みます」(西澤知美理事)

「展示として終わらせるのではなく、グッズなどを通してコミュニティを作ったり、イベントや講演会などで展開していきたい」

4月にカナダ・バンクーバーで開催されるTEDでは、スプツニ子!さんがこの大学の総長として登壇する予定だ。

文部科学省は昨年12月、東京医科大学の不正入試問題を受け、医学部医学科を置く全国の81の大学に緊急調査し、最終まとめを公表した。女子や浪人生を不利に扱うような不適切な事案やその疑いのある事案として指摘した大学が計10校あった。