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生理用品を黒い袋に入れるのは日本だけ? 世界の友達に聞いたらなんかスゴイことに!

「えっ、そこまででは......そんな驚きも、また発見でした」

「生理用品を買うと、黒い袋に入れて渡されるのは日本だけ?」

そんな疑問を抱いた女性が、他の国の事情を調べて動画にした。

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動画「世界の月経事情 Vol.1 黒い袋問題」

動画を作ったのは、TOKYO WOMEN'S FILM FESTIVAL(TWFF)事務局長の伯野朋絵さん。「世界の月経事情」という動画をシリーズで制作しており、第一弾として「黒い袋問題」を取り上げた。

日本のドラッグストアでは透けないレジ袋が使われており、コンビニや量販店では、生理用品だけを紙袋に入れて二重包装で対応するところもある。

BuzzFeed Japan Newsがある量販店に取材したところ、「生理用品の二重包装は市場でよく見られるサービス。お客様の要望に応じて対応しており、一律のルールはありません」とのことだった。

伯野さんもそうした対応が当たり前だと思ってきたが、夫の赴任先であるフランスで生理用品を買ったときに、対応の違いに驚いた。

「フランスではレジ袋は有料なので、マイバッグを持っていないときは投げるようにポンッと渡されて、そのまま持ち帰ります。他の国ではどうなんだろう、と気になって、知人や娘の友人たちに聞いてみることにしました」

生理用品を買ったら黒い袋に入れる?

伯野さんがFacebookのメッセンジャーなどで「生理用品を買ったら黒い袋に入れる?」と質問すると、台湾からは「はい。でも絶対ではないです。生理用品を買うのはみんな普通のことだと思っています。男性に頼むこともできますよ」との返信。

アメリカからは「ううん。ふつうの袋だけど」とドラッグストアのレジ袋の写真が送られてきた。

「黒い袋はゴミ袋みたいで恐ろしい感じ」(ドイツ)「隠さない」(フランス)など続々と返事が届いた。

高校時代に「生理について語ろう」というキャンペーンをした、と画像を送ってきた知人もいて、関心の高さを実感したという。

生理のことは伝わりづらい

伯野さんが生理に関心を持つようになったのは、以前、勤めていた出版社で、歴史社会学者の田中ひかるさんの著書『月経をアンネと呼んだ頃』を出版したのがきっかけ。

「生理や生理用品と社会の関係は、女性と社会の関係と似ていると感じ、生理の歴史について調べてきました。ただ、積極的に話題にするテーマではないので、関心がない人、特に男性には伝わりづらいとも感じていました」

動画による情報発信を学ぶ「毎日女性会議」のワークショップに参加し、課題として2016年に「むかしの女性はどうしていたの?」という生理に関するシリーズ動画を3本制作。「黒い袋」は新しいシリーズの1本目だ。

黒い袋は差別や抑圧の象徴?

取材を受けてくれた海外の友人からは、想定外の反応もあった。日本の黒い袋について、たくさんの意見が寄せられたのだ。

「日本で生理用品を黒い袋に入れているということが、彼女たちには衝撃的だったみたいです。差別や抑圧のシンボルだと感じたようで、『日本の女性は大丈夫?』みたいな空気になってきて......」

「『いやそこまでじゃないんだよ、店員さんも差別や抑圧をしているつもりはまったくなくて、気遣いやサービスの一つなんだけど』と説明しましたが、なかなかわかってもらえず複雑な気分になりました」

しかし、それも新しい発見だったと伯野さんは言う。実は、以前にも取材をしてみてわかったことがあったからだ。

差別か、配慮か

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「月経小屋」を訪ねた動画はYouTubeで8万回近く再生されている。

生理中の女性を隔離する「月経小屋」が福井県の敦賀半島に現存していると聞き、訪れたときのこと。経血が穢れだとされていたことから「女性差別では」と思って取材を進めると、月経小屋で過ごす間、女性たちはちょっとした旅行気分で「仕事や家事、育児から解放されて楽しかった」という声が語り継がれていることを知った。

それぞれの時代やそれぞれの国での生理との向き合い方は、女性たちの生活や意識を知る手がかりになった。

「動画を作ったことで、自分自身の生理との向き合い方についても考えさせられています。私は月経過多で毎月の数日間はとてもつらいのに、仕事をしているときは何事もないように過ごします。大変だと過剰にアピールするつもりもないけれど、実際には頻繁にトイレに行くので、もっと自然に生理について語れる空気になればいいですよね」

「黒い袋についても、私は『いらない派』ですが、絶対に入れないでと言うつもりもないんです。そのサービスがあるのにはどんな理由や背景があるのだろうと考えるきっかけを提供できるといいな、と思います」

生理用品の二重包装をしてほしいかどうか、筆者がTwitterでアンケートをしたところ、このような結果になった。