女の子とボンデージ姿の人形を広告画像として掲載
スペインで創業し、フランス・パリに本店を構える高級ファッションブランド、バレンシアガの2023年春夏コレクションの広告写真が批判にさらされています。
問題となっているのは、クマの人形と女の子を使用したこちらの広告。
BDSM(B:ボンデージ、D:ディシプリン、S:サディズム、M:マゾヒズムの頭文字をとった嗜虐的性向の総称)を連想させる格好のクマ、そしてクマを吊るすように持つ子どもが写った広告を掲載していました。
ハンドバックの広告写真では、児童ポルノに関する裁判資料が写り込んでいると指摘されています。
「子どもを性の対象にするなんて許せない」
この広告に対し、インフルエンサーからも批判の声が上がっています。
米NGO・NPO団体「Live Action」の創設者、ライラ・ローズさんは、Twitterに問題となった画像を転載しました。
「本当に不快。バレンシアガが、子どもがボンデージ姿のクマの人形を持った広告を出した。児童ポルノに関する記述が一部隠された文書も、小道具に使っている。これは犯罪です。子どもを性の対象にするなんて許せない」
虐待を連想させる?
カナダでインフルエンサーとして活躍するニコル・アーバーさんは、人形の目の部分があざのようになっており、これが虐待を受けた子どもを連想させるのではと指摘しています。
「みんな、写真を拡大してみて。このクマ、嗜虐的なコスチュームだけじゃなくて、目の周りが黒くなってる。このブランドは一生買わない。(今回の広告デザインは)何かの陰謀でも、偶然の出来事でもない。最悪」
バレンシアガは、今回の騒動についてインスタグラムのストーリー上で謝罪しています。
「当社のホリデーキャンペーンですが、利用者の皆様に不快な思いをさせてしまい、心からお詫び申し上げます」
「今回のキャンペーンでは、子どもたちとクマのぬいぐるみのバッグが一緒に紹介されるべきではありませんでした」
「すでにすべてのプラットフォームにおいて当該広告を削除いたしました」
その2時間後、同社のインスタグラムのストーリーには、今度は児童ポルノに関する裁判資料の広告について触れた謝罪文が掲載されました。
「当社の2023年春のキャンペーン広告において、利用者の不安を煽るような文書を掲示してしまい、誠に申し訳ございませんでした」
「私たちはこの問題を非常に深刻に受け止めています。この写真撮影のためにセットを組み立て、当社が承認していない小道具を配置した当事者に対して、現在、法的措置を取っています」
「私たちは、どのような形であれ、子どもたちへの虐待を強く非難します。そして、子どもたちの安全と幸せを支持します」
しかし、一連の謝罪についてさらに非難の声が上がりました。
「バレンシアガは、自分たちの犯した過ちについて謝っているんじゃない。指摘されたから謝っているだけだ。この2つを混同しちゃいけない」
「バレンシアガがこの問題を深刻に考えていたのなら、そもそもこんな考えは思いつかなかっただろうし、宣伝もしなかったでしょ」
「バレンシアガがこんなことするなんて信じられない…誰がこの広告にゴーサイン出したの?誰のアイデア?刑務所行きのヤバさですよ。恐ろしい…」
「他の企業の教訓になったことは間違いない」
セックスワーク(性労働)やポルノに反対の立場を示すキリスト教系の非営利団体「Exodus Cry」は、BuzzFeedの取材に対し、今回のバレンシアガの謝罪は「問題を指摘したすべての人の勝利」だと答えました。
「バレンシアガが、なんらかのメッセージを受け取ったことは間違いありません。子どもを性の対象として扱うのは、決して許されることではありません」
「今回の騒動は、大企業にも中小企業にも当てはまること。自社の製品や広告に、人々を不安にさせるようなコンセプトを採用しそうな企業に対し、教訓となったことは確かです」
ニューヨーク・ポスト紙によると、バレンシアガは現在、問題となった広告の制作者を相手に、2500万ドル(約34億5000万円)の賠償金を求める訴訟を起こしています。
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙島海人
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