「戦争反対!」ロシア各地で大規模なデモ。逮捕者多数、政権批判のリスクがありながらも…

    ウクライナ侵攻に対し、ロシア各地で抗議活動が行われている。一般市民や活動家など、1700人以上が逮捕された。SNSで反戦を訴えるロシアの著名人もいる。

    日本時間2月24日、ロシアのプーチン大統領がウクライナへの軍事侵攻を開始した。

    ウクライナでは軍事施設だけでなく、集合住宅もロシア軍の攻撃により破壊されており、地上での戦闘も始まっている。

    これを受け、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は24日、総動員令に署名した。90日以内に、ウクライナ全土の兵士と予備役を招集する。

    ウクライナの首都キエフなどでは死傷者も出ている中、ロシアでは各都市で、ウクライナ侵攻に対する抗議活動が行われている。

    ウクライナへの侵攻を開始した日の午後、ロシア連邦捜査委員会は「緊迫した外交政策状況に関連したデモ」に参加しないよう国民に警告する声明を発表した。

    当局は、抗議者には収監を含む「厳しい処罰」が下される可能性があるとしている。

    プーチン政権下で、抗議活動は一般市民でも高いリスクが伴う。それでもなお、モスクワサンクトペテルブルクエカテリンブルクノヴォシビルスクなどの都市で何千人もの人々が政府の警告に逆らい、大規模なデモ隊を組織している。

    AFPによるとモスクワにあるプーシキン広場には、約2000人が集結した。

    Pushkin Square, maybe less than 1000 meters from Red Square and the Kremlin, is the cite of a significant protest. These people know the risks of challenging the regime. They’re on the street in-spite of major personal costs.

    Twitter: @AVindman

    「赤の広場・クレムリンから1キロも離れていないプーシキン広場。重要な抗議活動の現場だ。この人たちは、政権を批判することのリスクを知っている。大きな個人的犠牲を払っても、路上に立っている」

    こちらはサンクトペテルブルクの様子。人々が「戦争反対」と唱えている。

    Quite a crowd of anti-war protesters outside the Great Gostiny Dvor in St. Petersburg. Police have reportedly arrested more than 180 people, but there are many more left standing. Video from Anna Klimenko.

    Twitter: @KevinRothrock

    「サンクトペテルブルクのゴスチーヌイ・ドヴォール(デパート)の外には、戦争に反対する人々がかなり集まっている。警察は180人以上を逮捕したとのことだが、まだ路上に立ち続ける人も多数いる。動画はAnna Klimenko撮影」

    ロシアでの抗議活動を監視する人権団体OVD-Infoによると、反戦デモに関連してこれまでに1700人以上が拘束されたという。人数はさらに増える見込みだ。

    報道関係者も拘束されている。モスクワで制服を着た配達員が警察に連行される映像も撮影された。

    ロシアのジャーナリストや活動家も抗議活動を行っている。

    人権活動家のマリナ・リトビノビッチ氏は、ロシアにる人々に向けて反戦活動を促す動画を投稿した。その後、自宅の外で逮捕されたと報じられている

    ジャーナリストのソフィア・ルソワ氏は、1人でクレムリンの外に立った。

    Anti-war solo pickets like this are popping up in cities across Russia. It’s not much but they’re arrested almost immediately, often upon leaving their homes when the cops know to expect them. Here’s Sofya Rusova, co-chair of Russia’s Trade Union of Journalists.

    Twitter: @KevinRothrock

    「1人で反戦活動を行う人も、ロシア各地にいる。騒動にはあまりならないが、このような人々も即座に逮捕されている。多くの場合、自宅のそばで警察が待ち構えており、自宅を出たところで逮捕される。こちらはロシアジャーナリスト組合の共同議長、ソフィア・ルソワ氏」

    スポーツ選手や俳優など、ロシアの著名人からも反戦の声が上がっている。

    プーチン政権は芸能界にも多大な影響力を持っているため、そのリスクは大きい。

    人気歌手のヴァレリー・メラゼ氏は、インスタグラムに動画を投稿し、「この出来事は、歴史によって裁かれるだろう。でも今日、心から願いたい。この戦争をやめてくれ」とウクライナ侵攻の中止を訴えた。

    軍事侵攻が始まる前日、ゼレンスキー大統領はテレビ演説で和平を呼びかけ、ロシアとウクライナとの密接な関係について語った。

    「(ロシアには)ウクライナに来たことがある人がたくさんいる。ウクライナに親戚がいる人も多い。ウクライナの大学で学んだ人も、ウクライナ人と友達の人もいる。我々の人格、国民性、原理を知っているはずだ」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙橋李佳子

    ゼレンスキー大統領は演説で、ロシアの人々にもメッセージを発信。ウクライナと共に立ち上がり、プーチン政権に対し戦争を望まないと訴えるよう促した。

    「この演説が、ロシアのテレビで放映されないことは承知している。しかし、ロシアの市民はこの演説を見るべきだ」

    「市民は真実を知るべきだ。その真実とは、手遅れになる前に侵攻を止める必要があるということ」

    「ロシア人は戦争を望んでいるのか? その問いの答えは、あなたがた次第だ」