人種差別と警察の過剰な暴力に反対する「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」運動が、アメリカ全土で巻き起こっている。
その引き金のひとつに、2020年3月13日に起きたブレオナ・テイラーさん(当時26歳)の死亡事件がある。
事件当日の未明、テイラーさんはケンタッキー州ルイビルの自宅で恋人と就寝中だった。麻薬捜査の令状をとってはいたものの、無警告でテイラーさんの自宅ドアを破壊して侵入した警官らから、8発以上の銃撃を浴びて死亡した。
Black Lives Matter運動が拡大する中で、テイラーさんの事件に関わった警官らへの処罰と起訴を求める声も多く上がっていた。
現地時間9月23日、ルイビルの大陪審は事件で発砲した3人の警官らに判断を下した。ブレット・ハンキソン容疑者のみ、隣家に発砲した危険行為で起訴され、他の2人は不起訴処分となった。
発砲した3人が誰一人として殺人罪で起訴されなかったことに対し、地元ルイビルだけでなく、ニューヨークやアトランタ、フィラデルフィアなど各地で抗議デモが勃発した。
AP通信によると、ルイビルで行われたデモの一部が過激化し、略奪行為と違法集会を開いた罪で100人以上が逮捕された。
またこのデモで、1人の男性が警官2人に発砲し逮捕された。
現地時間9月24日に記者会見が行われ、ルイビル警察のロバート・シュレーダー署長代行が登壇した。
発表によると、警官らに発砲したのは、ラリンゾ・ジョンソン被告(26)。過剰な危険行為14件と、警察官への暴行2件の罪で起訴された。
銃撃を受けた警官の1人は腰を撃たれたが、現在退院していると明かした。もう1人は腹部を撃たれ、搬送先の病院で手術を受けたが、容態は安定しているそうだ。
2人が回復する見込みがあることは「極めて運が良いこと」だと、シュレーダー署長代行は述べた。
24日の記者会見で、ルイビルのグレッグ・フィッシャー市長はルイビル警察に感謝の意を表した。そして、2人の警官への発砲は「絶対に許されない」と述べた。
「暴力は苦しみの原因にしかならず、苦しみを癒すことはありません。暴力は、決して解決策にならないのです」
この記事は英語から翻訳・編集しました。