Netflixドラマ『エミリー、パリへ行く』で描かれているのは、キラキラと輝くパリでの生活。
しかし今のパリは、普段にも増して道路にゴミがあふれている状態だ。
フランスでは、年金を支給する年齢を62歳から64歳に引き上げる制度改革が議会上院で審議されている。これを受け、労働組合はマクロン政権に猛反発。全国で大規模なストライキやデモが行われている。
清掃作業員も、ストライキをしている職業のひとつだ。そのためパリの一部では、2週間前からゴミ袋が収集されていない。
多くの店が閉まり、道路にゴミ袋が山積みになっている街の様子を『エミリー、パリへ行く』と対比させて、皮肉混じりに伝えるTikTokの投稿が増加中だ。
ユーザー@petite.blondineは、同作のオリジナル曲「Mon Soleil(モン・ソレイユ)」にのせて街の様子を投稿し、「フランスのストライキがどんなものか、誰も知らない」と書いた。
@angie.enparisは、主人公のエミリーを現在のパリの道路に合成し、エミリーがゴミ袋の前で自撮りをする動画を投稿している。
パリ在住のシャドラックさん(20)とフォーリーさん(20)は、買い物をするため街に出るまで、ストライキについて知らなかったという。
2人はイギリス出身のインフルエンサーだ。世界中を旅した後パリに住むのを決めたきっかけは、憧れのドラマ『エミリー、パリへ行く』だった。今、ロケ地として有名な広場の近くに住んでいる。
「お店に入っておばさんに聞いたら、年金支給の年齢の件でストライキをしていると言われました。かなり混乱している状況です」とシャドラックさん。2人は、労働組合側を支持すると語った。
「現在のパリがこちら」「次のシーズンで、エミリーがパリを救ってくれるといいな!」とキャプションをつけた2人の動画は拡散され、1100万回以上視聴されている。「Mon Soleil」にのせて、ドラマの登場人物のように着飾った2人が、ゴミの前を歩いている。
2人は投稿前、軽い冗談を誤解し、不快に思う人がいるのではと心配したそうだが、むしろ似たような動画を投稿をする人が増えた。
「(現地の人の多くは)パリという街が美化されがちなことを、おもしろがっています」とフォーリーさんは語る。
「私たちが(他の投稿で)パリの『良いところ』を見せているのは、パリを『良く見せる』のが仕事の一部だからです。今回は現実をそのまま出すだけで、おもしろくなると思いました」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙橋李佳子