英ノーサンプトン大学で史学教授をしているマシュー・マコーマックさん。ある日曜の朝、ノーサンプトン北東部の静かで緑豊かなリングス・ウッド自然保護区で、サイクリングを楽しんでいました。
すると林道の先に、白い宅配ロボットを発見したのです。
ロボットはアンテナを立て、ライトを点滅させながら、まるで木立の風景を楽しんでいるかのようにゆっくり進んでいました。
イギリスの静かな森の中、マコーマックさんは何千ドル(何十万円)もする未来型宅配ロボットと2人きり…。
「SF映画みたいでした」とマコーマックさんはその瞬間を振り返ります。
「R2-D2か何かが、ひとりぼっちでさまよっているみたいで」
マコーマックさんが寂しげな宅配ロボットの画像をツイートすると、投稿は1.8万回リツイートされ、23.5万の「いいね」を集めました。
「今朝自転車に乗っていたら、森で迷子になった宅配ロボットを見たよ」
ツイートにはリプライも多数寄せられました。
「ポジティブで優しい反応ばかりでした」とマコーマックさん。
「『ピクサーはこれを映画化するべきだよ』とかね」
「たくさんの人がこの宅配ロボットに共感を寄せていて、『自由を求めているんだ』とか色々言っていますよ」
「彼は迷ったんじゃない。自由になったんだ」
「ゆけ、小さきものよ」
「きっと感情が芽生えて、メンタルヘルスのために散歩に出たんだよ」
ノーサンプトンでは2020年11月から、スターシップ・テクノロジー社の宅配ロボットが、スーパーマーケットチェーン「Co-op」と提携し、食料品を配達しています。
マコーマックさんが遭遇した宅配ロボットも、このスターシップ・テクノロジー社のもの。
同社のマーケティング担当、ヘンリー・ハリス=バーランド副社長によると、マコーマックさんが遭遇した宅配ロボットは迷っていたのではなく、「お仕事中」だったそうです。
「皆様のご心配は大変ありがたいのですが、このロボットは迷子なのではなく、お客さまへの配送の途中です」と、ハリス=バーランド副社長はメールでBuzzFeed Newsの取材に答えました。
「我が社の宅配ロボットは、毎日1万〜1万5000件の配送を自動的にこなしています。さまざまな地形を走行でき、目的地まで最も安全で効率的なルートを選択できます」
「今回(話題になった画像)は、たまたま林道をルートに選んだというわけです」
マコーマックさんも、少しだけ芸術性を持たせるために「迷子」と表現したと話します。
リングス・ウッド自然保護区の周辺には住宅が多いため、配送の途中だと予想はしていたそうです。
スターシップ・テクノロジー社も、マコーマックさんのツイートに返信しました。
「迷ったんじゃなくて、ちょっとした冒険の途中だったんだね🤖」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙橋李佳子