第95回アカデミー賞の授賞式が3月12日(現地時間)、米ロサンゼルスで行われました。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(以下、エブエブと略称)に出演したアジア系俳優のキー・ホイ・クァンが、助演男優賞を獲得しました。
キー・ホイ・クァンは子役としてハリウッドで活躍していましたが、長い間、俳優のキャリアから退いていました。彼の「凱旋スピーチ」とも言える受賞スピーチに注目が集まっています。
キー・ホイ・クァンは、ベトナムで中国系移民の両親のもとに生まれました。ベトナム戦争の影響で、幼少期は香港の難民キャンプに避難。その後、米ロサンゼルスのチャイナタウンに移住したといいます。
1984年、当時12歳で『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』に出演し、翌年『グーニーズ』で天才科学少年のデータ役を演じて一躍有名になりました。
しかし、成長するにつれて俳優の仕事が減り、キャリアを積むのに苦労したといいます。
その後は大学で映画を学び、武術指導・演出を担当するため、俳優業からは一線を退いていました。
2021年にNetflix映画『オハナ』で俳優に復帰し、今作の『エブエブ』が復帰後2作目でした。
クァンは授賞式のスピーチで、喜びを爆発させました。
「私の母は84歳です。いま、自宅で授賞式を見ていると思います」
「ママ、オスカー獲ったよ」
「私の長旅は、小さな船の上からスタートしました。何年も難民キャンプで過ごして、育ちました」
「この光景は、映画の中でしか起こらないと思っていた。私の身に起きているなんて、信じられない。これが、アメリカンドリームだ」
また、妻のエコーさんに対して、俳優の道を歩み続けることを勧めてくれた感謝の気持ちを語っています。
「私の人生を愛してくれた妻のエコーに恩を感じています。毎月、毎年、この20年間で『いつか絶対にあなたが輝く日がくるから』と教えてくれました」
「夢は信じるものです。私は諦めかけていました」
「皆さん、どうか夢を持ち続けてください。ありがとう。私が映画界に戻るのを受け入れてくれて、皆さん本当にありがとう」
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙島海人