アメリカのFDAが丸1年使える避妊リングを承認

    毎月取り替えが必要な他の避妊リングとは違い、「Annovera」はユーザー自身が取りつけ、取り外しを行い、1年間使える。

    8月10日、FDAは、初めて丸1年使える避妊リングを承認した。

    「Annovera」と呼ばれるこの製品は、2019年末~2020年初めまで手に入らず、価格もまだ明らかにはされていないが、ホルモン避妊薬で、他の避妊薬と同じように、プロゲスチンやエストロゲンなどの女性ホルモンを組み合わせて、排卵を抑制し、避妊の手助けをする。

    柔軟性があるドーナツ型のリングを3週間、膣内に装着した後、取り外して水洗いし、1週間ケースに保存する。

    このサイクルを4週間毎に繰り返して、1年間。つまり、1年当たり28日周期の生理13回分になる。NuvaRingのような他の避妊リングは、毎月交換する。

    「Annovera」は利用者が自分で装着、取り外しが可能だ。取り外したときに、生理がある場合もある。

    このリングを開発した非営利団体人口協議会は、このリングを販売するライセンス契約を製薬会社のTherapeuticsMDと締結したと7月末に発表している。

    リングは連邦政府指定のタイトルX家族計画クリニックで低所得の女性向けに割引価格で販売される予定だ、と同協議会の広報担当はBuzzFeed Newsに話す。

    「調査対象の10人に9人(約89%)は、避妊方法としてこのリングに満足しています」と同協議会の声明には記載されている。「また、体験者の多くは、性感や性交回数に変化はありませんでした」

    このリングに使用されているプロゲスチンは、セゲステロン酢酸エステルと呼ばれる新しいタイプだが、エストロゲンは他の避妊具で使われているのと同様とのことだ。他のホルモン避妊薬と同じように、HIVや他の性感染症の予防にはならない。

    35歳以上で喫煙する女性は、重篤な心血管疾患を引き起こす危険があるため、「Annovera」は使えない、と米国食品医薬品局(FDA)は話している。

    また、特定の疾患がある女性も、この製品の使用は避けなければならない。使えない人には、血栓ができやすい人、乳がんの既往歴がある人、特定の肝機能状態、子宮の異常出血がある人、C型肝炎の治療に特定の薬剤を使っている人が含まれる。

    副作用は、他のホルモン避妊薬と同じように、頭痛、偏頭痛、吐き気、嘔吐、酵母感染(カンジダなど)、腹部痛、生理痛、乳房の圧痛、異常出血、下痢、性器の痒みなどが含まれる。

    「Annovera」を使っていれば妊娠の可能性は少ないが、他の避妊具と同じように、妊娠する場合もある。

    治験によると、「Annovera」を使い始めて1年目は、100人に2~4人は妊娠する可能性があるとFDAは説明している。他の避妊具と比較すると、コンドームや膣外射精を使う100人に18人以上が毎年妊娠しており、ピル、パッチ、ペッサリーの場合は、100人に6~12人、子宮内避妊具(IUD)や避妊手術の場合は、100人に1人以下となっている、と米国疾病対策予防センター(CDC)は説明している。

    同リングを使用する人の血栓リスク、他の薬やタンポンとの併用時に問題がないかは、継続して監視される、と米国食品医薬品局(FDA)は話している。

    「米国食品医薬品局(FDA)は、女性の健康のための改革を支持するとともに、今日の承認は、利用可能な避妊の選択肢に基づいています」と米国食品医薬品局(FDA)医薬品評価研究センター(CDER)医薬品評価第Ⅲ課 課長代理 ビクター・クレンシル博士からの声明に記載されている。

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan