プレイヤーが学校で生徒や警官を射殺するシミュレーション・ビデオゲーム「Active Shooter」が配信されるという報道は、学校での銃乱射事件の生存者や犠牲者の親の激しい怒りを買った。
「Active Shooter」では、プレイヤーが特殊部隊SWATのメンバーになるか、「探し出して殺す」のが目的の銃乱射犯になるかを選んでプレイできる。
Steamに公開されているデモ動画を見ると、学校での銃乱射のシミュレーションにおいて、プレイヤーは学校で複数の民間人と警官を殺し、教室内の爆破装置も起動させている。
パークランド高校で発生した銃乱射事件によって、14歳で亡くなったアライナ・ペティの父親ライアン・ペティは、このゲームは「軽蔑に値し、許容できない」と述べている。
ペティはフェイスブックで次のように書いている。「Valveが、全国の学校に影響を与えた悲劇をゲーム化して、利益を上げようとしていることは嫌悪すべきことだ。子ども達の安全を守ることは、地域社会に影響するリアルな問題であり、決して『ゲーム』ではない」
パークランド高校で起きた銃乱射事件で娘のジェイミーを失ったフレッド・グッテンバーグも、このゲームを非難し、Valveは「学校と市民の安全を気にかける全ての人たちの怒りと直面すべきだ」と述べている。
フロリダ州のビル・ネルソン上院議員は、学校で最近、銃乱射事件が起きた直後であることを指摘し、このようなゲームの責任者は「恥を知るべきだ」と述べた。
パークランド銃乱射事件の生存者であるサミュエル・ゼイフは人々に対して、Steamにこのゲームを公開しないようValveに求める嘆願書に署名してほしいと頼んでいる。
5月29日の時点で、6万人以上の人々が嘆願書に署名している。
嘆願を開始したシアトルの母親ステファニー・ロビネットは、嘆願書のページにこう書いている。「死者が出た学校銃乱射事件を娯楽に変えて利益を上げるなんて。そんな事実を知って、眠ることなどできるだろうか」
「Valveは、言論の自由などあらゆることを理由に、このゲームが合法だという態度を取っている。テック界の億万長者たちは、言論の自由などを盾に取って、道徳的には完全に堕落していると人々が知っているが法的には問題がないことを行っている。でも、私達はこれには我慢できない」
他のTwitterユーザーも、ゲームを公開しないようSteamに強く求め、「本物の学校銃乱射事件を切り抜けなければならなかった大勢の生徒を侮辱する」ことだと述べている。
「これは、これまでで最も下劣なことをはるかに上回り、度を越している」とあるTwitterユーザーは言う。
ある親は、「Active Shooter」を削除しない限り、Steamの利用を息子たちに禁止すると言っている。
あるビデオゲームデザイナーは、他のデザイナーに悪影響を及ぼすと述べ、Steamの「Active Shooter」を買わないよう、人々に促している。
「Active Shooter」を開発したロシア拠点のゲームパブリッシャーAcidは、作品を擁護し、銃乱射や暴力を奨励しているわけではないと述べた。
AcidのSteamプロフィールページに投稿された声明には、「世界中の人々から非難と厳しい批判が殺到しています」と書かれている。声明によると、公開前に「ゲーム内での銃撃犯の役割をなくす可能性が高い」という。
Steamに公開されているプロフィールによると、Acid Publishing Groupは、2017年にロシアで立ち上げられた社員3人の会社らしい。
Acidは声明で作品を擁護し、「いかなる種類の暴力、それも特に、いかなる種類の銃乱射も奨励していません」と述べている。また、一般市民虐殺ゲームの「Hatred」や、通行人を轢くダークで暴力的なレースゲーム「Carmageddon」のような他のゲームは「『Active Shooter』比べるともっと最悪で、銃乱射や殺人に焦点を合わせている」と付け加えている。
「人々の怒りや、ゲームのアイデアが悪いかもしれない理由はわかりますが、この話題は放っておくべきものであるように感じます」とAcidの声明には書かれている。
AcidはゲームについてValveにメールを送り、回答待ちだという。
「これほど大量の批判と反感を買ったので、公開までに本作における銃乱射犯の役割を取り除く可能性は高いです。現状で構わないということにならない限り」
Acidにコメントを求めたが、今のところ回答はない。
AcidがSteamに公開した他のゲームには、「White Power」や「Tyde Pod Challenge」などがある。
開発元は、「Active Shooter」デモ動画の免責条項に、次のように書いている。「暴力や不適切な行動はビデオゲームの中のものであり、現実世界ではないとRevived Gamesは考えています」
子どもや、「政治的な見解やキャリアの強化または確立を求めている」人にはお勧めしないゲームだという。
「いかなる場合も、本ゲームで発生する行動や出来事、状況を再現・模倣しようとすべきではありません」
本作のSteamページの注にも、以下のように書かれている。「真剣に受け止めないでください。これは、シミュレーション以外の何ものでもありません。周囲の人など、誰かを傷つけたい気持ちになったら、地元の精神科医に助けを求めるか、警察・救急・消防への緊急通報ダイヤル911(または、適切な番号)に電話してください」