人々が激怒した、学校銃乱射ゲーム「Active Shooter」

    米フロリダ州パークランドの高校で起きた銃乱射事件の犠牲者の親たちも、このゲームをリリースしないよう求めた。

    プレイヤーが学校で生徒や警官を射殺するシミュレーション・ビデオゲーム「Active Shooter」が配信されるという報道は、学校での銃乱射事件の生存者や犠牲者の親の激しい怒りを買った。

    Active Shooter」は、ゲームプラットフォーム「Steam」で6月6日に公開が予定されていた。Steamは、ワシントンを拠点とするエンタテインメント技術およびソフトウェア企業Valve(バルブ)社が所有するプラットフォームだ。

    本作の発表に先立ち、フロリダ州とテキサス州の学校で銃乱射事件が起きている。2月14日にフロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で起きた銃乱射事件では、17人が死亡した。さらに5月18日には、テキサス州のサンタフェ高校で銃を持った男が発砲し、10人が命を落とした。

    Valve社にコメントを求めたが、回答はなかった。

    Active Shooter」では、プレイヤーが特殊部隊SWATのメンバーになるか、「探し出して殺す」のが目的の銃乱射犯になるかを選んでプレイできる。

    Steamに公開されているデモ動画を見ると、学校での銃乱射のシミュレーションにおいて、プレイヤーは学校で複数の民間人と警官を殺し、教室内の爆破装置も起動させている。

    パークランド高校で発生した銃乱射事件によって、14歳で亡くなったアライナ・ペティの父親ライアン・ペティは、このゲームは「軽蔑に値し、許容できない」と述べている。

    Despicable. Let @steam_games know games depicting “active shooter” scenarios in schools, where players shoot civilians, students & law enforcement are unacceptable. https://t.co/7utMvVqYzT

    軽蔑に値する。プレイヤーが学校で民間人や生徒、警察官に銃を乱射する筋書きのゲームは許容できないと、@steam_gamesに知らせよう。

    ペティはフェイスブックで次のように書いている。「Valveが、全国の学校に影響を与えた悲劇をゲーム化して、利益を上げようとしていることは嫌悪すべきことだ。子ども達の安全を守ることは、地域社会に影響するリアルな問題であり、決して『ゲーム』ではない」

    パークランド高校で起きた銃乱射事件で娘のジェイミーを失ったフレッド・グッテンバーグも、このゲームを非難し、Valveは「学校と市民の安全を気にかける全ての人たちの怒りと直面すべきだ」と述べている。

    This company should face the wrath of everyone who cares about school and public safety and it should start immediately. Do not buy this game for your kids or any other game made by this company. https://t.co/LbkXy0upwc

    娘が学校で起きた銃乱射事件の犠牲になって死亡してからの数カ月間で、恐ろしいことをいろいろ見聞きした。このゲームは、その中でも最悪なものの1つかもしれない。

    この会社は、学校や公共の場での安全性を気にかける者全員の怒りに直面すべきだ。直ちにそうすべきだ。我が子のためにこのゲームを買ってはならない。この会社が作る他のどのゲームも買うべきではない。

    フロリダ州のビル・ネルソン上院議員は、学校で最近、銃乱射事件が起きた直後であることを指摘し、このようなゲームの責任者は「恥を知るべきだ」と述べた。

    This is inexcusable. Any company that develops a game like this in wake of such a horrific tragedy should be ashamed of itself. https://t.co/jjp6LxNWhC

    許し難いことだ。恐ろしい悲劇の直後にこんなゲームを開発する企業は恥を知るべきだ。

    パークランド銃乱射事件の生存者であるサミュエル・ゼイフは人々に対して、Steamにこのゲームを公開しないようValveに求める嘆願書に署名してほしいと頼んでいる。

    Please sign this petition against the launch of a SCHOOL SHOOTING VIDEO GAME... it makes me sick I even have to tweet this #ChangeTheRef https://t.co/vAiPxIKEzC

    「学校銃乱射のビデオゲーム」の公開に反対するこの嘆願書に署名してください。こんなことをツイートしなければならないというだけでも、気分が悪くなります。

    5月29日の時点で、6万人以上の人々が嘆願書に署名している。

    嘆願を開始したシアトルの母親ステファニー・ロビネットは、嘆願書のページにこう書いている。「死者が出た学校銃乱射事件を娯楽に変えて利益を上げるなんて。そんな事実を知って、眠ることなどできるだろうか」

    「Valveは、言論の自由などあらゆることを理由に、このゲームが合法だという態度を取っている。テック界の億万長者たちは、言論の自由などを盾に取って、道徳的には完全に堕落していると人々が知っているが法的には問題がないことを行っている。でも、私達はこれには我慢できない」

    他のTwitterユーザーも、ゲームを公開しないようSteamに強く求め、「本物の学校銃乱射事件を切り抜けなければならなかった大勢の生徒を侮辱する」ことだと述べている。

    .@steam_games I think it would be incredibly insensitive of you, and a slap in the face to the hundreds/thousands of students who have had to live through real school shootings - if you release your new 'Active Shooter' game.

    新作ゲーム「Active Shooter」は、信じられないほど無神経だ。公開すれば、本物の学校銃乱射事件を切り抜けなければならなかった大勢の生徒を侮辱することになると思う。

    「これは、これまでで最も下劣なことをはるかに上回り、度を越している」とあるTwitterユーザーは言う。

    Please, everyone: @steam_games is the maker of an unreleased Active Shooter game depiction of killing "civilians" (read: your children) and cops in a school setting. This is far, far, far beyond the vilest thing ever. Please RT to let Steam know this is unacceptable, inhumane. https://t.co/cnMvgXjW0Z

    皆さん、お願いがある。@steam_gamesは、学校で「民間人」(つまり、皆さんの子ども達だ)と警官を殺す設定の未公開ゲーム「Active Shooter」を作っている。これは、これまでで最も下劣なことをはるかに上回り、度を越している。リツイートして、非人道的で許されないことだとSteamに思い知らせてほしい。

    ある親は、「Active Shooter」を削除しない限り、Steamの利用を息子たちに禁止すると言っている。

    Hey @steam_games you need to get rid of the Active Shooter game or I'm banning my sons from spending money on your platform.

    @steam_gamesさん、「Active Shooter」ゲームを削除しないなら、Steamでお金を使うことを息子に禁止します。

    あるビデオゲームデザイナーは、他のデザイナーに悪影響を及ぼすと述べ、Steamの「Active Shooter」を買わないよう、人々に促している。

    BOYCOTT Active Shooter game on @steam_games Revived Games has gone too far and it will reflect even worse for all of us designers who want to make great games.... Help me take out the trash, tell Steam we are not having this....

    @steam_gamesの「Active Shooter」ゲームを不買しよう。Revived Gamesは度を越している。傑作ゲームを作りたいと思っている我々デザイナー全員に悪影響を及ぼすだろう…。ゴミのような作品を排除するのを手伝ってほしい。こんな作品はいらないとSteamに伝えてほしい…。

    Active Shooter」を禁止せよ:34%

    ゴミのようなゲームを求めている:66%

    Active Shooter」を開発したロシア拠点のゲームパブリッシャーAcidは、作品を擁護し、銃乱射や暴力を奨励しているわけではないと述べた。

    AcidのSteamプロフィールページに投稿された声明には、「世界中の人々から非難と厳しい批判が殺到しています」と書かれている。声明によると、公開前に「ゲーム内での銃撃犯の役割をなくす可能性が高い」という。

    Steamに公開されているプロフィールによると、Acid Publishing Groupは、2017年にロシアで立ち上げられた社員3人の会社らしい。

    Acidは声明で作品を擁護し、「いかなる種類の暴力、それも特に、いかなる種類の銃乱射も奨励していません」と述べている。また、一般市民虐殺ゲームの「Hatred」や、通行人を轢くダークで暴力的なレースゲーム「Carmageddon」のような他のゲームは「『Active Shooter』比べるともっと最悪で、銃乱射や殺人に焦点を合わせている」と付け加えている。

    「人々の怒りや、ゲームのアイデアが悪いかもしれない理由はわかりますが、この話題は放っておくべきものであるように感じます」とAcidの声明には書かれている。

    AcidはゲームについてValveにメールを送り、回答待ちだという。

    「これほど大量の批判と反感を買ったので、公開までに本作における銃乱射犯の役割を取り除く可能性は高いです。現状で構わないということにならない限り」

    Acidにコメントを求めたが、今のところ回答はない。

    AcidがSteamに公開した他のゲームには、「White Power」や「Tyde Pod Challenge」などがある。

    開発元は、「Active Shooter」デモ動画の免責条項に、次のように書いている。「暴力や不適切な行動はビデオゲームの中のものであり、現実世界ではないとRevived Gamesは考えています」

    子どもや、「政治的な見解やキャリアの強化または確立を求めている」人にはお勧めしないゲームだという。

    「いかなる場合も、本ゲームで発生する行動や出来事、状況を再現・模倣しようとすべきではありません」

    本作のSteamページの注にも、以下のように書かれている。「真剣に受け止めないでください。これは、シミュレーション以外の何ものでもありません。周囲の人など、誰かを傷つけたい気持ちになったら、地元の精神科医に助けを求めるか、警察・救急・消防への緊急通報ダイヤル911(または、適切な番号)に電話してください」

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan

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