シシー・シェリダン(16)さんは、子ども向けケーブルテレビチャンネル「ニコロデオン」のウェブシリーズ「DIY With Me(私とDIY)」に出演する役者だ。TikTokでは、300万人近いフォロワーを抱えている。
彼女のTikTokに投稿されたある動画が、先日話題になった。動画では、シシーさんが泣きながら訴えている。
「ピアスを開けたんだけど、マスクも一緒につけられちゃった。見て、この白いほう。クレアーズ(ピアスホールを開けた店の元ブランド)なんて大っ嫌い!!」
シシーさんが投稿した動画。
ピアスホールを開ける時は、穴が自然治癒によって塞がらないように、ファーストピアスを固定する。約1カ月つけ続けなければならないのだが、そのファーストピアスにマスクのひも部分が「挟まった」状態で、耳に固定されてしまった。
6月28日、シシーさんは両耳に3つめのピアスホールを開けるため、米バージニア州の自宅近く、スターリングにある「アイシング」に母親と向かった。
「アイシング」は日本でも店舗を展開してきたチェーンのアクセサリーブランド「クレアーズ」の姉妹店だ。アメリカでは、アクセサリーショップで店員にピアスホールを開けてもらうことは珍しくない。
店員の女性がシシーさんの右耳に「マスクごと」穴を開けたとき、「全く気づかなかった」と彼女はBuzzFeed Newsに語った。
「椅子に座っていて、何も感じませんでした。マスクが耳に固定されていたなんて、そんな様子は何もなかった」
シシーさんはピアスホールの場所があまり気に入らず、その時すでに「気が立っていた」そうだ。店を後にし、車に戻り、マスクを外そうとした。しかし、マスクのひも部分が耳から離れなかった。
「マスクが取れなかったので、耳に引っかかってるのかと思いました。母に頼んで取ってもらおうとしたら(取れなくて)、『え、ウソ?あの店員マスクごとピアス開けたの?』って」
右耳の状態に気づき「ヒステリックに泣き出した」シシーさんを、母親がなだめようとしていたそうだ。ピアスホールを開けた直後だということもあり、彼女は右耳に痛みを覚えていたという。
これも一種の「新型コロナウイルスの大流行ゆえの悲劇」だと思った彼女は、TikTokで動画をシェアした。
多くの視聴者は彼女に同情したが、「笑ってしまった」という反応もあったという。
「確かにおかしいですよね。こんなことってなかなか起きないから」
ピアスホールを開けてから1日経っても、腫れと痛みは引かなかったそうだ。また、ファーストピアスがきつく固定されていたため、マスクのゴム部分を完全に取り除くのは不可能だった。
シシーさんは右耳の腫れが引くまで数日待ち、次の動画を投稿した。
「ピアスの件でアップデート。とりあえず、マスクは取れました。でも、ひもの一部は耳に残ったままです。穴を開けたから、その中につまっている感じ」とシシーさんは動画で語っている。最後には「前に投稿した動画で、すごく感情的になってしまってごめんなさい。どうすればいいのかわからなかったし、とても痛かったの」とコメントした。
シシーさんと母親は、アイシングに73ドル(約7800円)の返金を求めている。しかし、店長はファーストピアスを返品しない限り返金は不可能だと主張しているという。
「娘の耳は明らかに腫れていて、穴にまだコットンが残っていたのでピアスを抜きたくなかったんです」と母親は語る。
「店側に過失があるのに、返金のことで言い争っているのはショックです」
店長のカルメン・サンディ氏は、親子とのやりとりがあったことを認めた。返品されないと返金できないのは、会社の規定だという。使用済みの商品を回収し、廃棄することが定められているそうだ。
「(シシーさんには)ピアスを持って店に来てもらう必要があります。そうすれば、新しいものと交換します。ですが、聞き入れてもらえませんでした。対応に不満があるなら、会社に電話してください」
クレアーズ本社の広報担当者も、BuzzFeed Newsの取材に答えた。同社は一連の出来事を調査中であり、全額返金を含めた「適切な措置」を取るという。
一方シシーさんは、ピアスホールを開けた店員とのトラブルは避けたいと語った。
「彼女には何の処分も必要ありません。あれはおかしな事故だったんです」
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子