7月29日から8月1日までアメリカ・シカゴで開催されたロックフェス、ロラパルーザでは、数多くの有名歌手やラッパーが登場した。
その中でも特にTikTokで話題になったのは、女性ラッパーのミーガン・ジー・スタリオンのパフォーマンスで、ASL(アメリカ手話)通訳者をしていた女性、ケリー・クルディさんだ。
ロラパルーザを訪れていた20歳の男性が撮影したTikTok動画には、ミーガンとラッパーのカーディ・B共演の曲「WAP」のパフォーマンス中に、手話通訳するクルディさんが写っている。
「WAP」の歌詞は過激で、放送禁止用語が多く含まれているのが特徴だ。
ロラパルーザで撮影された動画が拡散され、手話通訳者がフェスでどれだけの大役を担っているか、多くの人に注目された。
TikTokだけでなく、ツイッターなど他のSNSでも動画は拡散された。
動画を撮影・投稿したギレルメ・ヴィタル・セニース・ダ・シルヴァさんは、BuzzFeed Newsの取材に対し、「この動画で、色んな人にASLの可視性を提供できたことが嬉しい」と話している。
「私はもともと音楽の手話通訳者のファンなので、彼女(クルディさん)を録画しようと決めた」
「以前ブラジル手話のクラスを受講したことがあり、彼女がフェスで曲をどのように手話で表現するのか見てみたかった」
ダ・シルヴァさんは、ミーガンとクルディさんのパフォーマンスをすべて撮影した。
しかし、彼が映像を投稿しようと決めたのは、たまたま撮影中に女優のミーガン・フォックスと歌手のマシン・ガン・ケリーが通りかかったからだった。
彼の動画は現在、290万回以上も「いいね」されている。
クルディさんは、BuzzFeed Newsの取材にすぐには答えなかったが、ダ・シルヴァさんは彼女と連絡を取っていて、自分が注目されていることをよく知っているそうだ。
クルディさんは自身のインスタグラムで、新しいファンのため、そしてろう者のコミュニティのために、ろう文化について発信している他のインフルエンサーをチェックするように勧めている。
1つの投稿には、「より利用しやすい世界にするために、自分の役割を果たし、投稿するものには、字幕をつけて!」と書いている。
「可能な限りASL通訳を提供してほしい。ろう者のクリエイターをサポートしよう。そして、なぜろう者がフェスに行くのか、まだ疑問に思っているのなら、このページを見て新しいことを学んでほしい」
投稿には、ろう文化について発信している他のインフルエンサーもタグ付されている。(→ @freelove19xx、@_jtay_、@deafinitelydope、@redmenace11、@slntwrlddd)
ダ・シルヴァさんは、自分の動画が多くの人の目に触れしかった一方で、ASLへの理解が少ない人たちからのコメントも印象的だったという。
8月3日には、同動画が 「ヌードコンテンツ」として一時的に削除されたことに気づいた。
TikTokの広報担当者によると、運営側はその後動画を復元したが、一時的に削除された理由については明かされなかった。
ダ・シルヴァさんは、動画が他のプラットフォームでより多くの人々に向けて公開されることで、観た人が手話や手話文化について学ぶ機会となることを願っているそうだ。
ダ・シルヴァさんはクルディさんに、ろう者のコミュニティについて一般の人々に教えるために、彼女に協力したいと伝え、この動画を使って 「なぜ手話通訳者が必要かを認識してもらいたい 」と語った。
クルディさんも、同じことを望んでいるという。