遺体に虫刺され痕やトコジラミ…元受刑者が不衛生な独房で死亡、遺族が死因究明を求める

    米アトランタの刑務所内で、昨年9月に死去した元受刑者の男性の遺族が、死因は刑務所の不衛生な環境だと訴える声明を出し、詳しい捜査を要求している。

    米アトランタのフルトン刑務所で2022年9月、30代の男性受刑者が死亡した状態で発見された。

    受刑者の遺族は今年4月、代理人弁護士を通して声明を発表。刑務所の不衛生な環境のせいで受刑者が死亡したと主張し、死因の究明を求めている。

    担当した監察医によると、死亡したラショーン・トンプソン元受刑者(当時35歳)は2022年9月13日、ジョージア州フルトン郡の刑務所の独房で死亡が確認された。

    遺族の代理人弁護士によると、トンプソン元受刑者は、同年6月22日に軽度の暴行罪で逮捕された後、統合失調症を理由に、刑務所内の精神病棟へ移された。その3カ月後、独房で動かなくなっているところを発見されたという。

    刑務所の記録によると、監察医による死因の特定はできていない。しかし、米紙ワシントンポストによると、独房は「作業員が防護服を着て入るほど、不衛生な状態」だったという。

    遺族は4月12日、代理人弁護士を通じて、不衛生な刑務所の環境を訴える声明を発表。公開された写真には、トンプソン元受刑者の遺体に、虫刺されと思われる痕や、トコジラミが写っていた。

    遺族は、刑事事件としての捜査と、フルトン郡刑務所の閉鎖もしくは移転を求めている。

    遺族の代理人弁護士を務めるミシェル・ハーパー氏は、声明を通じて次のように述べた。

    「調べによると、刑務官は、生前のトンプソン元受刑者を最後に確認した日を覚えていないと語っています」

    「トンプソンさんの遺体が発見されたとき、その場にいた刑務官の一人は、『パニックになり』、心肺蘇生を拒んだのです」

    トンプソン元受刑者の兄、ブラッド・マクレーさんは、弟を「陽気な人だった」と振り返り、死については「あまりに悲惨な出来事だ」と語っている

    現地メディアの報道によると、アラバマ州に住む遺族は、トンプソン元受刑者の訃報の連絡を受けるまで、彼が刑務所に収監されていることを知らなかったという。

    刑務所を運営するフルトン郡保安官事務所が14日に出した声明では、保安官のパトリック・ラバト氏がトンプソン元受刑者の死に関する調査を開始したと発表した。

    さらに、フルトン郡刑務所内の害虫駆除のために、予算50万ドル(約6720万円)が追加で承認されたことを明かした。

    フルトン郡保安官事務所は次のように述べている。

    「受刑者の健康と安全は、我々にとって最も大切なことです。今の刑務所の施設は老朽化が進み、受刑者とスタッフにとって安全かつ清潔な環境とは言い難くなっています」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:筒井華子