女性初優勝! 431キロレース、途中でさく乳しながらもトップを走ったママ

    優勝ランナーはママでした。

    イギリスのウルトラマラソン選手、ジャスミン・パリス(35歳)が、1月中旬に行われたモンテイン・スパイン・レースにて優勝した。

    本大会は、イギリスのペナイン山脈にある長距離遊歩道ペナイン・ウェイを走る全長268マイル(約431キロ)のレースで、女性が優勝したのは今回が初めて。パリス選手の記録は83時間12分23秒。2位の選手に10マイル(約16キロ)ほど差をつけ、大会記録を12時間ほど縮めたぶっちぎりの速さを見せた。

    さらに驚くのは、レース途中のチェックポイントでさく乳まで行なってこの記録だということ。

    パリス選手はエジンバラで獣医を務めている。レース中のさく乳について、BBCの取材に、14ヶ月になる娘のために必要なぶんの母乳は事前にさく乳して冷凍していたが、乳腺炎や胸の腫れを防ぐために途中でさく乳したと語った。

    「レースまでには卒乳している予定だったんですけどね。娘が1歳になった時に卒乳するも、クリスマスの間にウィルス性の病気にかかってしまい、夜に落ち着いて眠れるよう再びおっぱいをあげる生活に戻っていたんです」

    1月5日、パリス選手は自身のブログにて、出産後に過酷なレースに復帰することの難しさを語っていた。出産後の傷を庇いながら、短い睡眠の中でトレーニング時間を見つけるのは至難の技だったという。

    「寒くて暗い中、ベッドから起き上がるのが日に日に億劫に感じる中、新しい目標を設定しないとダメだと気づいたのです」

    やる気を奮い起こすため、パリス選手は世界で最も過酷と言われるスパイン・レースにエントリー。彼女自身、絶対に出場することはないと思っていたレースだったという。

    レース運営によると、レース途中でパリス選手はこうコメントしたという。

    「体中、どこもかしこも痛み始めています。でも(ゴールは)もうそう遠くないですよね」

    「フィニッシュしたら、娘が待っていますから」

    ゴールテープを切り、自信と安堵の表情をみせたパリス選手は、レース直後すでに母親の顔をしていた。

    「今日は1日中、機嫌が悪かったそうで、ゴールで私を見た娘は戸惑った顔をしていましたよ。まるで、私がまたどこかへ行ってしまうのかなと考えているようでした」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:soko / 編集:BuzzFeed Japan