「反マスク」のデモ隊が、スーパーや百貨店に押し寄せる。客と小競り合いに

    騒動が起きたのは、アメリカのロサンゼルス。SNSに投稿された動画では、マスクを付けていないデモ参加者らが「マスクはもうたくさんだ」と叫ぶ様子がおさめられている。一部の抗議者は、新型コロナウイルスは「詐欺だ」と主張している。

    新型コロナウイルスの陽性者数が急増しているアメリカ・ロサンゼルスで現地時間1月3日、「反マスク」を訴える人々がスーパーやショッピングモールに押し寄せた。

    一部では、他の客や従業員らと小競り合いへと発展する事態になった。

    スーパー「ラルフス」と百貨店「ブルーミングデールズ」で、マスクを付けていない人々が「マスクはもうたくさんだ」と叫びながら歩いている動画がツイッターに投稿された

    デモ隊の一部は、新型コロナウイルス感染症は「詐欺」で、陽性者数は故意に吊り上げられていると主張している。

    「マスクを付けないなら店から出ていくべきだ」と言う他の客や従業員と、デモ参加者が口論になっている動画も拡散した。

    The anti maskers went next Bloomingdales at Century City Mall. LAPD showed up eventually but did not try to remove them. @Bloomingdales staff seemed unable to force them to leave.

    Twitter: @SamBraslow

    ツイート訳:「ある抗議者は、検査結果が陰性だったからマスクをつける必要はないと主張。客を『マスク・ナチ』と呼んでいる」

    「反マスクを訴える人々が、センチュリー・シティー・モールのブルーミングデールズに移動した。警察もそのうち来たけど、彼らを退店させようとはしなかった。従業員も、無理やり彼らを引きずり出すわけにはいかないようだった」

    他の客を「マスク・ナチ」と呼んだ男性は、「All Lives Matter(すべての人の命は重要だという意味。Black Lives Matterに対抗して使われることが多い)」と書かれたマスクをあごに付けている。

    「検査をしたら陰性だったから、なにも心配する必要はない」と男性は主張した。

    アメリカの公衆衛生当局や専門家らは、たとえ検査結果が陰性でも、新型コロナウイルス感染症に感染していないとは保障できないと述べている。検体が採取された時点で、陽性と判定されるのに十分な量のウイルスが無かった可能性もあるからだ。

    同日、別のショッピングモールでも同様の事態が起きた。デモ参加者に女性客が「自分は医師で、家族が新型コロナウイルスで入院している」と伝えるが、デモ参加者は「人は誰でも死ぬ」と反論した。

    One of the more intense moments was when a woman who said she’s a doctor shouted at the anti-maskers from behind a makeshift barricade. “My mother is in the hospital with COVID,” she said. “People die. That’s life. Your father’s not special,” an anti-masker replies.

    Twitter: @emilyytayylor

    ツイート訳「他にも緊迫した瞬間があった。その場しのぎのバリケードの向こうで、医者だという女性が反マスクのデモ隊に『私の母親はコロナで入院している』と叫ぶ。デモ参加者は、『人は死ぬ。それが人生だ。あなたの父親も例外ではない』と返した」

    地元記者のサミュエル・ブラスロー氏によると、ラルフスでは他の男性客に殴られたと主張するデモ参加者が、男性客を追いかけてショッピングカートで突っ込もうとしていたという。このデモ参加者は、会計時に他の客を蹴っていたそうだ。

    As the shopper was checking out, the anti-masker kicked him. “Some guy take care of him out there, come on patriots.”

    Twitter: @SamBraslow

    ツイート訳:「客が会計をしようとすると、反マスクを訴える人がその客を蹴った。『誰かこの男を追い出して。ほら愛国者たち、いくよ!』」

    ある店舗ではデモ隊が入店しないようにドアを閉めたものの、参加者がドアを開けようとしたため従業員と激しい口論になった。この動画もツイッターに投稿されている

    反マスクのデモ隊が複数の店舗に押し寄せた1月3日時点で、ロサンゼルス郡全体では7500人以上の新型コロナウイルス患者が入院している。

    これまでに前例のない数字で、地域の医療システムは逼迫し、医療スタッフたちは病院の売店や会議室での治療を余儀なくされている。

    病床のキャパシティが減少しているためレストランや美容室などは営業を停止しているが、小売業は規模を縮小して営業を続けることが許可されている。

    1月4日、ロサンゼルス市警察のロザリオ・セルバンテス氏は、今回の騒動に関連した逮捕者は出ておらず、「治安を維持するために」警察は現場に出動したとBuzzFeed Newsに明かした。

    上記に加えスーパーで1件、ショッピングモールでもう1件暴行の通報があったとのことだが、この通報が反マスクのデモ参加者によるものなのか、他の客によるものなのかは不明だという。

    4日に開催された公開会議で、ロサンゼルス郡の保健サービスを束ねるクリスティーナ・ガリー博士は、マスク着用の重要さを繰り返し説いた。

    「マスクはあなた自身を守ります。しかしそれ以上に、あなたの周囲の人たちを守ります」

    「マスクは、あなたが周囲の人々の健康と命を守ることにどれほど真剣に取り組んでいるかを表すものなのです」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。