ツイッターの株式の約4%をおよそ10億ドルで取得した資産運用会社のエリオット・マネジメントは、ツイッターから得られる収益を増やし、最高責任者(CEO)職に専任する人物と入れ替えるため現CEOのジャック・ドーシー氏を退任させる、との方針を表明している。
退任を迫られているCEOを守るため、ツイッターの従業員たちは彼ららしい行動に出た。本社のあるカリフォルニア州サンフランシスコで「CEOのジャックを守ろう」という意味のハッシュタグ、#WeBackJackを付けてツイートし始めたのだ。
ツイッター共同創業者のドーシー氏は2008年に同社CEOを解任されたが、2015年に復帰して現在に至る。また、共同創業した決済・金融サービス企業のSquare(スクエア)でもCEOを務めている。
43歳のドーシー氏は2019年11月、長ければ2020年の半年間、アフリカで生活するつもりだと明かした。その結果、今はサンフランシスコとアフリカでの活動を掛け持ちしている状態にある。
ツイッターの従業員たちから支持の声が湧き上がったのは、ドーシー氏が非難の対象になったことを受けての結果だ。
非難の理由は、ツイッターの財務状況が1つ。さらに、オンラインで交わされる会話に悪影響を及ぼすと糾弾されている、デマや偽情報、悪質な話題に対するツイッターの姿勢も、非難の根拠として挙がっている。
億万長者のポール・シンガー氏から資金提供されているエリオット・マネジメントは、不可解な行動を取るドーシー氏がツイッターの低迷要因で、100%の時間をつぎ込んでくれるトップなら業績を上げられると考え、ドーシー氏の退任を主張しているようだ。
BuzzFeed Newsはツイッターの広報担当者に問い合わせたが、コメントは得られなかった。ドーシー氏にダイレクトメッセージでコメントを求めたものの、今のところ返信はない。
このハッシュタグが登場してから1時間もしないうちに、30人以上の従業員がツイートし始めた。
「Mr.インクレディブル」や「マトリックス」といった映画のシーンからとったGIFアニメ付きのツイートもあれば、ドーシー氏のためなら「戦いのマットに上がる」といった内容のツイートもある。あるツイート主は、ドーシー氏がノーベル平和賞を取るはず、としていた。
ツイッターでグローバル・パートナーシップ・リードを務めるララ・コーエン氏のツイートには、「従業員が強力なリーダーに対してどれほどの誇りを抱いているか、見くびってはいけない」とあった。
「ジャックは、我々が何者なのか、そしてツイッターがなぜ重要なのかを示してくれた。Twitterは、単に匿名で発言するだけの下らないツールでない。Twitterにより、公衆の面前で対話することが可能になった。#WeBackJack」
ツイッターの事情に詳しい人物によると、ドーシー氏擁護に関する意見交換は、#WeBackJack付きツイートが登場する前からSlack(社内用コミュニケーションツール)の場で行われていたという。
Slack上では、以前から会社に対する意見を述べることが従業員に推奨されていたという。この人物は、ドーシー氏を応援しろとの指示は上層部から出ていない、と述べた。
匿名を条件に答えた従業員の1人は、パートタイムCEOとして復帰したドーシー氏に当初はみな懐疑的だったが、今では会社の進む方向を定め、現経営陣に権限を持たせたと評価している、と話した。
従業員たちは、かつては混乱していた社内が、先ごろ開催された全体集会を経て「自分たちに自信を持てる」状態になったことを認めている。
「すべてジャックのお陰だと」語るこの従業員は、ドーシー氏が交代させられたらTwitterを辞めると続け、「従業員が誰のために働くかを投資会社から指図されるなんて、笑わせるな」と語った。
#WeBackJackで検索すると、従業員たちの個人的なツイートばかり並んでいる。ドーシー氏が従業員の健康に責任を持ってくれている、という内容のツイートも見つかる。
世界各地で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)にともなう感染症(COVID-19)患者が増えていることを懸念したツイッターは3月2日、全世界の従業員4800人に対して翌日から在宅勤務を始めるよう呼びかけた。
ツイッターの公式ブログには、「本日より、全世界の全従業員に可能な限り在宅勤務することを強く推奨します」とある。
「これは、当社内、そして世界でCOVID-19感染拡大の可能性を下げるためです」(同ブログ)
直近の決算報告会でドーシー氏は、本社に一極集中する状況を変えたいという意向を表明した。この方針は、本社があるサンフランシスコの一部政治家から批判されている。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:佐藤信彦 / 編集:BuzzFeed Japan