「ピザの注文」を装い、911に虐待被害を通報。指令係は危険を察知した

    「ピザを頼むのに〈911〉にかけたのですか? ピザを頼むのなら、番号が違いますよ」指令係の最初の対応は、こうだった。

    オハイオ州オレゴン市に住む女性が、「ピザの注文」を装い、母親の身の危険を〈911〉の通信指令係に知らせた。対応をした指令係の機転が賞賛されている。

    オレゴン市で緊急通報番号〈911〉の通信指令係を務めるティム・テンイック氏が、その電話を受けたのは、11月13日のことだった。

    ピザを頼まれ、はじめは戸惑ったものの、家庭内暴力が疑われる状況で助けを求めていることにすぐに気づいた、と地元のトレド・ブレイド紙は報じている。

    「ピザを頼むのに〈911〉にかけたのですか?」

    同紙が入手した通話の録音を聞くと、そうテンイック氏は尋ねている。

    「ピザを頼むのなら、番号が違いますよ」

    「違う、そうじゃないの、わかってない」

    アパートの住所を告げた後、女性はそう言った。

    「いま助けに行きます」とテンイック氏は口早に答える。

    「警官を向かわせます」

    「男」はまだそこにいるか尋ねると、女性は「はい」と答える。テンイック氏は、医療援助もいるか尋ねた。

    そのまま電話口にいられるか尋ねると、女性は「いいえ」と答え、「ペパロニピザが欲しい」と繰り返し、テンイック氏は助けを送ると念を押した。

    加害者に気づかれないように、アパートに到着する前にパトカーのサイレンを切るよう、テンイック氏は警官に伝えた。

    警官の到着後、通報した女性の母親を殴り、押し飛ばしたとして、サイモン・ロペス容疑者(56)が逮捕された。ロペス容疑者は、「酔っ払って騒ぎ、口汚く罵り、暴力を振るった」と母親はトレド・ブレイド紙に話した。

    11月13日、ロペス容疑者は、家庭内暴力(DV)と治安びんらん行為の容疑で拘置されていることを、BuzzFeed Newsはルーカス郡保安官事務所に確認した。

    オレゴン市の警察署長であるマイケル・ナヴァール氏は、通信指令係のテンイック氏を褒め称えた、と地元紙は報じた。

    「テンイック氏は、窮地にいてそれを言葉で伝えられない女性に気づき、危険にさらさずに、正しい質問ができました」とナヴァール氏は話している。

    今後は加害者がピザの配達のふりに気づく可能性が懸念される、とテンイック氏は話し、自由に話せない状態で〈911〉に電話をする場合は、通信指令係に聞こえるように受話器を置いておくよう助言する。

    「一番いいのは、電話を繋げた状態で、私たちが状況を掴めるように、住所や名前などできるだけ多くの情報を伝えることです」とテンイック氏は語る。

    〈911〉にかけてきてピザを頼もうとする人にはこれまで会ったことがない、とナヴァール氏は地元テレビ局のWTVGに話している。今回の件は、2015年のスーパーボウルで流された広告を思い出させる。

    この広告は、女の人が〈911〉に電話をかけピザを頼もうとし、家庭内暴力(DV)で助けを求めようとしていることに通信指令係が気づくというものだった。

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    23日、BuzzFeed Newsはオレゴン市の警察署に問い合わせたが、現時点でまだ連絡は戻ってきていない。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan