実写版『キャッツ』がアメリカで一足先に公開されるも、レビューは大荒れ

    「『キャッツ』を観ると毎回、身の毛のよだつようなゴミ置き場の乱痴気騒ぎになりかけているように感じる。そんな勢いを感じながら2時間近く座っていないといけない」

    近々公開予定のトム・フーパー監督作、実写版『キャッツ』レビュー(批評)が12月18日に解禁され、インターネット上で批評家たちが思いをぶちまけている。

    『キャッツ』はT・S・エリオットによる『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法(Old Possum's Book of Practical Cats)』を元にしたミュージカル作品だ。

    たくさんの猫が登場するのだが、この猫たちはジェリクル・キャッツと呼ばれている。オールド・デュトロノミーという猫(映画の役者はジュディ・デンチ)が、新しく生まれ変わる天上の世界、つまりヘビサイド層に行ける猫を発表するまで、 猫たちは一匹ずつジェリクル舞踏会の夜に歌を披露する。少し暗いストーリーだ。

    今回の実写作品には、イドリス・エルバ、テイラー・スウィフト、ジェームズ・コーデン、ジェイソン・デルーロ、イアン・マッケラン、ジェニファー・ハドソンなど、アンサンブルキャストに人気俳優が集結している。どうやらそれでも、映画は救われなかったようだ。

    現在のところ映画は、Rotten Tomatoesでポジティブな評価が17%と悲惨な成績で、Metacriticのスコアも「全体的に否定的なレビュー」を示す31点と非常に低い。

    日本での公開は先だが、アメリカではなかなか辛口の評価が集まっている。いくつかのレビューをまとめてみた。

    「キャッツのレビュー:いかなる人間も目にすべきでない場面を目にした」— ギズモード

    「猫の集団に囲まれ、毛皮の帽子とコートを身に着けた人間の全身を見た」とアレックス・クランツ氏は書いている。

    「キャラクターの上に暗い影を落とす恐ろしい灰色の像を見ました。そのキャラクターがまばたきして気づいたのは、結局それは猫になった女性で、彼女に色はつけたけど毛皮を追加するのは忘れたってことでした」

    「少なくとも私たちが予告編で気を取られた毛皮の胸は控えめになっていました。全員がデジタル的に中性化されていました。まるでティン・トイの最初のフォトショップ担当者が、スムージング処理のツールをふざけて使い過ぎたみたいに」

    「キャッツのレビュー:踊って、歌って、デジタル毛皮をなめる」 — ニューヨーク・タイムズ

    「演劇の楽しみの一つは(あなたが演劇派であればの話ですが)『人間味』ですが、『キャッツ』では、ふかふかの毛をまとった熱心な俳優の存在が欠けています。残されたのは、あらかじめ用意された、ニャーニャー鳴きながら空高くお尻を突き出す引き締まった体の人たちの画像だけ」と、映画評論家のマノーラ・ダルジス氏。

    「上下するお尻には、確実に笑うでしょう」

    「もっと洗練した作品にしようとしたのが大失敗です!猫の言葉で言えば、この映画には壮大な毛玉(突拍子のない状況)、お尻の嗅ぎ合い(互いをもっと知ること)、それに深く相手を傷つける引っかき傷(深い関わり合い)が欠けています」

    「あなたの第三の目が突然開いたら見えるもの、それが『キャッツ』です」— Polygon

    「事実はこうです。『キャッツ』は、編集と編曲の両方で映画自体を台無しにしています。構想もしっかりしていません。それにCGI処理で内容が忘却のふちに追いやられています」と、カレン・ハン氏は書いている。

    「それでもフーパーの構想に対する献身的な姿勢には、不思議と素晴らしさを感じます。試写会の際に、超現実的な感じをもう少し抑えた形になっていれば良かったのですが」

    キャッツを観るのは、狂気への転落のようだった」— Collider

    「猫たちを欲情させるだけでは物足りなかったのか(どうしてあんなに欲情しているんだ)、フーパーは猫たちにゴミをあさらせたり動物の本能を強調したりしてぞっとするような内容に仕上げた」と、マット・ゴルドベルク氏。

    「『キャッツ』を観ると毎回、身の毛のよだつようなゴミ置き場の乱痴気騒ぎになりかけているように感じる。そんな勢いを感じながら2時間近く座っていないといけない」

    「そう、『キャッツ』は中身も見た目と同じくらいひどい」— AV Club

    イグナティ・ヴィシュナヴェツキー氏は次のように書いている。

    「エフェクトの大半がやりかけに見える。主要キャストと背景のキャラクターの間に解像度やアニメ―ションで目に見えるずれがあるし、映画のリリース版でレンダリング・エラーが少なくとも一回はあった」

    ヴィシュナヴェツキー氏は、映画で奇妙なビジュアル・エフェクトがあったことを強調し、85歳のジュディ・デンチが「どう見てもおかしいデジタル化された脚を、頭の後ろで伸ばす場面があった」と指摘した。

    「その瞬間こそ、この映画を一言でまとめたものだ。つまりコンセプトを間違っていて、制作に失敗している」

    「『キャッツ』のレビュー — にゃんとも不快な苦悩の毛のかたまり」— ガーディアン

    「舞台はロンドン。まるで核爆弾が落とされた後のようだ」とピーター・ブラッドショウ氏。

    「人間がいないので、爆風で飛ばされたのかもしれない。あるいは生物災害で、デジタル毛皮の猫人間の突然変異体が生じたのかもしれない」

    「グリーンバックを見ながら気取って歩いたり這ったりして、みんなでグロテスクな顔をしたり演技したりするのを見るのは異様だ。それにダース・モール似が多いのはどうして?トム・フーパー監督は意図的にこういう外見にしたの?」

    「『キャッツ』は良い。『キャッツ』は悪い。『キャッツ』は『キャッツ』」— Vulture

    「『キャッツ』を良し悪しで評価するのは、まったく間違った基準軸だという気がする。この映画は、愛情を込めて言うけど、奇怪です」と、映画評論家でBuzzFeed Newsの元ライターであるアリソン・ウィルモア氏は書いている。

    「『キャッツ』:映画のレビュー」— Variety

    「(猫に九生ありというが)何人かのスター俳優にとって、大成功に終わったアンドルー・ロイド・ウェバーのミュージカル作品を不十分なとらえ方と制作で脚色した本作品に関わったことを忘れたくても、9つの命では足りないかもしれない」とピーター・デブルージ氏は書いている。

    「このむらのある目障りな作品は、アンチ派が予想した通りの完全なジェリクル大惨事だ。フーパーが、テクノロジーが自分の構想にこたえられるかを心配することにエネルギーを注ぎ過ぎた、消化しかけの映画の毛玉だ」

    アメリカではこの言われようだが、日本ではどうだろう?公開は2020年1月24日。自分の目で確かめてみてほしい👀

    この記事は英語から翻訳・編集しました。