すべての体は美しい。
カナダ、トロントに拠点を置く週刊のオルタナティブ誌『Now』は毎年、「体」の特集号でそれを証明している。
Nowは年1度、ボディ・ポジティブ(自分の体を受け入れること)や多様性を祝福する特集号を発行しているのだ。
2019年のテーマは、「ボディ・ラブ」(自分の体を愛すること)。10人がヌードでポーズを取り、自分の体の意味について語っている。
アーティストのフランセタ・ジョンソンは、ある雑誌のインターンとして働いたとき、ファッション業界が「プラスサイズの体」をどのように扱っているかをじかに体験した。
「インターン先では、体が大きい女子は私だけでした。『体が大きすぎるから、ここにはふさわしくない』と言う人はいませんでしたが、職場の基準すべてが『ここはあなたの居場所ではない』と言っているように感じました」
「会社がつくり上げた “美しさの理想” の中で、自分がいる場所を理解しようとしたのです。そのときから、こうした基準から外れた美しさで自分自身を定義するようになり始めました。基準の中で人生を送りたくなかったから」
理容師のタイラー・ラムは、性別適合手術を受けた。
「数カ月前、乳房切除の手術を受けました。『これからは上半身裸で外出できる! 何も気にしなくていいんだ! 屋根の上から大声で叫びたい!』という気分でした」
「包帯を外すのが待ち遠しくてたまりませんでした。シャツを脱ぎ、堂々と振る舞うことができるのは、本当に幸せなことです。傷痕など気にしていません。傷痕は、ずっとなりたかった自分の一部なのですから」
両肺の移植を受けたシルザナ・ミサは、誰かの体の一部を持っている。
「手術後のある日、鏡を見たときのことを覚えています。傷痕にビタミンEオイルを塗っていたときのことです。『なぜ私は隠そうとしているのだろう? これは私が乗り越えてきたことの証拠なのに』と思いました」
「私にとって、これは名誉の印、勲章です。もう隠したくありません」
ジャック・ラーメットはアーティスト、ミュージシャン、父親、そして性的暴行の被害者だ。
「(性的暴行について)人々に話し始めたとき、そして特に、自分の体験をアートとして表現し始めたとき、私は過去を乗り越えることができました。作品の題材にしたとき、ついにぐっすり眠ることができたのです」
「歩き方、姿勢、すべてが変わりました。今、私は自分の体に満足しています」
ジャーナリストのダニエル・ダントルモンは摂食障害を克服した。
「食べ物を、良いとか悪いとか判断しなくなりました。毎日運動しなくちゃ、とは思わなくなりました。私にとっては大きな変化です」
「自分の体を育むことは簡単なことに見えるでしょうが、私にとっては、極端なまでの自己愛のように感じられます」
ミナ・ゲルゲスも、SNSで注目されていたとき、摂食障害に苦しんでいた。
「インターネットで初めて注目されたとき、私は摂食障害から回復しているところでした。女性セレブの写真の横に、同じ格好をした自分の写真を投稿していたのですが、人々は私の体重が増えつつあることに気付き始めました」
「端切れで手づくりした女装用ドレスを褒めてくれていたコメントが、私の体をばかにするコメントに変わりました。人々に、太っている、醜いなどと言われ、私は写真加工アプリに依存するようになりました」
ライターのメラニー・チェンバースは、自分の体の強さと回復力に感謝することを覚えた。
「母親と私は、ジェーン・フォンダのエクササイズを一緒にやっていました。フォンダはビデオの中で、40代になってようやく、朝目覚めたとき、自分の体に不安を感じることがなくなったと言っていました」
「私も40代になり、そうした内なる声に耳を貸すのをやめました。私は今、自分自身の声を聞いています」
シャンテル・スポールディングはボディビルで過食を克服したが、ボディビルにも困難があった。
「多くの人は、ボディビルはとても健康的なものに違いないと思っています。ある意味、正解ですが、不正解でもあります」
「短期間で大幅に減量することは健康的ではありません。また、競い合うことで、身体イメージの問題が増幅します。特にショーの後は、体が大きく変化するからです。私はそうした変化を受け入れることを学ばなければなりませんでした」
乳がんで両胸を切除したシーラ・ドブソンは、女性は「自分自身の健康」の擁護者であるべきだと考えている。
「私には乳房がありません。それでも社会は、女性には乳房があることを求めます。こうした社会は、人々にとって居心地の良いところではありません」
「これは、私自身を取り戻すための行動です。私にとって本当に大切なのは、自分自身であること。ほとんどの時間、自分に乳房がないことなんて意識していません」