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トランスジェンダーの女性だと公表した美容系ユーチューバー。アウティング脅迫に中指

美容系YouTuberのニッキー・デ・ジャガーは、「I'm Coming Out(カミングアウトします)」というタイトルの動画を投稿した。専門家たちは、外部がセクシュアリティを勝手に公表する「アウティング」の危険性を語る。

美容系ユーチューバーのニッキー・デ・ジャガーがトランスジェンダーの女性であることをカミングアウトした。

もちろん彼女が自分の意思で行ったことだが、彼女はこのタイミングでのカミングアウトを望んではいなかった。

ニッキー・チュートリアル(NikkieTutorials)という名でも知られている彼女は1月13日、「I'm Coming Out.(カミングアウトします)」というタイトルがついた約17分の動画を投稿した

この動画で、デ・ジャガーは自身がトランスジェンダーの女性であるだけでなく、外部の人間からアウティングすると脅迫されていたと話した。

「私がトランスジェンダーだということを、メディアにリークしようとしている人物に脅迫を受けていました」とニッキーは動画で語る。

「最初は本当に恐ろしかったです。他人の本当のアイデンティティを尊重できないほど卑劣な人がいることを知り、恐ろしく感じました。本当に下劣で、不快なことです。もちろん、私を脅迫したあなたも、今この動画を見ていることでしょうね」

ニッキーは、脅迫を受けたためカミングアウトすることを決めたと動画で話している。約1,300万人のチャンネル登録者にこのタイミングで話すのは、元々計画にはなかった。

そして悲しいことに、アウティングの脅迫を受けたトランスジェンダーは、ニッキーが初めてではない。

アウティングの脅迫や威嚇は、トランスジェンダーの人たちに非常に深刻な影響を与えてしまう。彼らのキャリアと人生を危険にさらす可能性もある。

YouTubeでこの動画を見る

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トランスジェンダーの男性であり、LGBTQに関するメディアモニタリングを行う非営利組織GLAAD(グラード)のディレクターを務めるニック・アダムズは、アウティングの危険性について語る。

「特にこの数十年にわたって私たちは、レズビアン、ゲイ、またはバイセクシュアルの人のアウティングは適切ではないことを学んできました。トランスジェンダーの人にも同じことが言えますが、トランスジェンダーに対するアウティングが及ぼす、深刻で暴力的な影響についてはあまり理解されていないのです」

「歴史的に、過去の性別が他人に知られると、それが仕事や友人の喪失につながり、時には命の喪失にもつながる可能性があります」

たとえばモデルのトレーシー・ノーマンは、ヘアカラー用品のクレロールのパッケージに起用された、最初の黒人のトランスジェンダーの女性だった。

しかしノーマンは1980年にアウティングされた後、キャリアを失ってしまった

1961年にメディアにアウティングされたトランスジェンダーのモデル、エイプリル・アシュリーと、1981年にアウティングされる前、映画『007 ユア・アイズ・オンリー』にも出演していたキャロライン・コッシーも同じ経験をした。

キャロライン・コッシ―は、自身のキャリアが「一晩で破壊された」と話している。

1999年の映画『ボーイズ・ドント・クライ』では、 ブランドン・ティーナの実話が描かれている。

ティーナはネブラスカ州で暮らすトランスジェンダーの男性で、1993年にトランスジェンダーであることが判明した後、暴行とレイプを受け、殺害された。

現在でも、殺人事件ではいわゆるトランス・パニック・ディフェンスの主張が、依然としてまかり通ってしまう州がある

トランス・パニック・ディフェンスとは、殺人事件の被告が、相手がトランスジェンダーであるとわかったときのショックによって殺してしまったと主張することだ。

たとえ暴力を受けたり仕事を失ったりしなくとも、個人の医療情報を同意なしに公開されることはトラウマになるとアダムスは話す。

2017年、TV番組『Survivor』(一般人の参加者がサバイバル生活をしながら賞金などを競い合う番組)に参加したジーク・スミスは、番組のセカンドシーズンで自身の意志に反して、トランスジェンダーの男性としてアウティングされてしまった。

他のトランスジェンダーの人たちと同様、ニッキーはトランスジェンダーであることを明かさないことを「一種の嘘」とする批判に直面した。

「私が嘘をついている、私が本当のことを言いたくない、または本当の自分を知ってもらうことを怖がっているため、私がトランスジェンダーであることをリークしようとした。そう彼らは言っているのです。でも私は怖くありません」と彼女は動画で話している。

しかし、「カミングアウトしない」ことは「嘘」ではない、とアダムスは話す。

「トランスジェンダーの人たちは、性別の履歴を秘密にする権利を絶対に持っているのです」

「性別を変えた人たちは、本物の自分として生きているのです。彼らは、毎日周囲の人たちに本当の自分を見せているのです」

ヤナ・カロウは、トランスジェンダーの人たちが運営する、トランスジェンダーのためのサポートホットライン「トランス・ライフライン」のコミュニケーションディレクターを務めている。

カミングアウトしていないトランスジェンダーの人たちを「嘘つき」呼ばわりすることは、彼らを攻撃し、中傷する方法のひとつに過ぎない、とカロウはBuzzFeed Newsに話した。

「自分のアイデンティティの深い部分を明らかにすることによって、自身の安全性を評価できるのはニッキーだけです」

「その情報を共有しなければ、トランスジェンダーであることについて周囲がどう考えるか知ることはできませんが、そのリスクもわかりません」

ニッキーの動画は、他のビューティーインフルエンサーや多くのファンから多くの支持を受けた。ニッキーを脅迫した人物たちに激しい憤りを覚える人も少なくはない。

okay so who was trying to blackmail nikkie tutorials? i just want to talk

「オーケー、誰がニッキーに脅迫メールを送った?話がしたいんだけど」

ほとんどのアメリカ人にはトランスジェンダーの知り合いがいないことを前提に、アダムズとカロウはニッキーのカミングアウトが重要だと話した。

「ニッキーや他のトランスジェンダーの人たちが自身の経験について話すことができるとき、それは世界が彼らの経験を理解するのを助け、またトランスジェンダーの人たちが、本物の自分の人生を生きやすくするのを助けます」とアダムスは話した。

しかしカロウは、こうした著名な人物の例がすべてではないと警告した。

本当に影響を与えるには教育が必要だと主張する。それでもなお、若いトランスジェンダーの人たちにとっては、ニッキーのカミングアウトは大きな意味があるという。

「トランスジェンダーの人たちにとって、同じトランスジェンダーの人々が世界の中で繁栄し、自分で決断を下すのを見ることができるのは、本当に素晴らしい事だと思います」

ニッキーは、自身を脅迫した人物たちに非常に鋭いメッセージを送っている。

「私を脅迫し、脅迫することで本当に私の人生を台無しにできると思った人たちへ、こちら(中指)をどうぞ。ゆっくり楽しんでね」

この記事は英語から翻訳・編集しました。