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欧州議会でもセクハラ問題、女性議員が立ち上がる

「ドイツ同盟90 / 緑の党」に所属する欧州議会のテリー・ライントク議員は、「沈黙の文化を終わらせなければなりません」と話す。

80人以上の男女が被害を報告

10月に入り、欧州議会でもセクシュアルハラスメントや性差別の報告が相次いでいる。ハーヴェイ・ワインスタインに関する暴露と「#MeToo(私も)」ムーブメントをきっかけに、女性たちが自らの体験を語り始めているのだ。

Politico」と「Sunday Times」によれば、すでに80人以上の男女が匿名で、欧州議会での職務中に性的虐待や性差別を受けたと報告している。

そして、1人の女性が現状を変えようと、性的暴行に関する決議案を提出した。

「ドイツ同盟90 / 緑の党」に所属する欧州議会のテリー・ライントク議員はBuzzFeed Newsの電話取材に「いま私たちが行動を起こし、声を上げることのできる環境をつくることが重要なのです」と語った。

「私が求めているのは、沈黙によって問題をうやむやにする文化を終わらせることです」

「これは、欧州議会幹部の手にかかっています。欧州委員会のクロード・ユンケル委員長や欧州議会のアントニオ・タイヤーニ議長が目を覚まし、何とかすべきだということに気づかなければなりません」と、ライントク議員は述べる。

ライントク議員は、現行制度の改革を求める超党派グループの一員だ。彼女によれば、欧州議会の関係者が職場での性的暴行や性差別について報告する手段は、ハラスメント対策委員会などいくつか存在するが、多くの人がそれらの存在すら知らないという。

そこで、ライントク議員らは外部カウンセラーの導入を提案した。カウンセラーたちが与えられる権限は、暴行被害に関する匿名の報告やハラスメントの苦情を受けつけ、状況の改善に努めることだ。

ライントク議員らはさらに、セクハラ対策のための研修を全議員に義務づけ、欧州連合(EU)が本部を置くブリュッセルの警察に協力を求めるべきだと提案した。現状では、ブリュッセル警察は、大部分の議会関係者に対して何もできない。外交特権などの規制に阻まれ、起訴が難しいからだ。

ライントク議員らの決議案は10月26日、賛成580、反対10、棄権27という圧倒的な支持を得て採択された。

報復を恐れて声を上げられない

ライントク議員は懸念の一つとして、苦情を訴えれば職を失うのではないかと心配する人々がいることを挙げている。実際、Buzzfeed Newsの取材に応じた女性職員は、報復を恐れて匿名を希望。その上で、現行制度は全く助けにならないと述べた。

「すべてが議員にとって有利な制度です」とこの職員は話し、もし必要になっても現行制度には決して頼らないと断言した。この職員自身は性的暴行を経験していないが、しばしば上司たちから侮辱的な言葉を浴びせられるという。

しかも、欧州議会の議員は、ほとんどの雇用契約を通知なしに解除できる。不明瞭な「信頼喪失」条項があるのだ。「だから、私たちは皆、恐れているのです」と職員は話す。

選挙で選ばれた議員であるにもかかわらず、ライントク自身も同様の問題を抱えている。同氏はBuzzFeed Newsに対して、「私もセクシスト的な言動に苦しめられてきました。政治家にしてはかわい過ぎる、あるいは醜い、といったことです」と明かした。

欧州議会では10月25日午前、ライントク議員が決議案を提出した際に、PoliticoとSunday Timesの報道について議論が交わされた。

ライントク議員はBuzzFeed Newsに、「あの報道にショックを受けていることは明白でした」と語った。そして、多くの議員が結束の意思を示したという。「多くの議員がショックを受け、自分たちも何かしなければ、声を上げなければと気づいたのです」

「これは特異な問題ではなく、1つの社会問題です」とライントク議員は言う。「だからこそ、私たちはこの大きな問題に対して行動を起こさなければなりません。私たちはセクシズムを根絶する必要があります。これからも、何か肯定的なことが起きるまで、休むことなく声を上げ続けるつもりです」

この記事は英語から翻訳されました。翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan


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